永遠に続く夢 (ページ17)

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宿舎に帰る日がぐんと少なくなって、僕は毎日練習室で寝泊まりしていた。
食欲はあったけどどうにか体を軽くして、食事は10日に1回にした。
ヒョンたちは最初そんな僕を心配してくれていたけど、「好きにさせてやれ」とユンギヒョンの一言でぱったり僕にかまわなくなったし、僕もそれでよかった。

テヒョンはヒョンと僕、僕とAをうまく取り持とうといっぱい、いっぱい気を遣ってくれたけど、それも鬱陶しく感じるくらい、僕は練習のことしか考えられなかった。

Aとはもうずいぶん話していない。
学校でも、宿舎でも、そもそも会わない。
練習室にも来なくなった。
和解も何もないし、けんかもなにもない。

――――と、思っていたら、数週間してAが練習室に現れた。

僕はちょうど、ずっと練習してきたAの例のステップが出来始めたころだった。
音楽に合わせて、自分としては最高にステップを踏んでいた。
Aが部屋に入ってきて、うわ、と止まりそうになったけど、自分に気にするな、気にするなと唱えて知らんふりを決め込んだ。

久しぶりに視界の端にうつるAは、変わらず華奢で、髪をきっちり結んで、オールブラックの服できめていた。

気にしない、と思っていても、頭がAのことでいっぱいになった。

最後に話したのはもう２週間も前だった。

そんなこんなで踊り終えて、お互いなにも喋らず立ち尽くしていた。
するとそれまで後ろで壁にもたれてだるそうにスマホを見ていたAが前に出てきて、

「はい」

スマホを差し出してきた。
何のカバーもついていないそれをぽいと出され、落としそうになり、あわあわキャッチした。ダサかった。

「下がってな」

Aはいつもみたいな冷たい目で僕を見た。

スマホに表示されていたのは、僕だった。
さっきのダンスを撮っていたらしい。

僕は大人しく後ろに下がると、Aは同じ音楽を再生した。
僕はそれを見ながら、撮られていたものを同時再生した。

完全に、敗北だった。