泥棒猫、捕まえました【d!】 (ページ22)

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『しかし、分からないな。あれほど警戒していたというのに何故いないんだ』

gr「それには答えられる。彼奴等は、なんだかんだ言って私を信用しているんだ」

　“それには答えられる”と言うってことは、矢張り先程は質問の真意に気付いた上ではぐらかしていたのか。

　信用、か。そう小さく呟けば、此方に顔を向けずにグルッペンが私に問う。

gr「お前にも、信用できる仲間がいるのか？」

『…“仲間”……懐かしい響きだ。ああ、いたよ。信頼していた仲間が』

gr「…そうか」

　過去形にしていたことには触れずに、頷くグルッペンに少しばかり優しさを感じた。
　別に、言いたく無いわけでもないのだが、話すとすれば長い話となるし、初対面の人に話すような内容でも無い。

　そこから、また暫く沈黙が続く。カツ、カツ…と響いていた足音が不意に止まる。
　到着したのかと顔を上げてグルッペンを見れば、酷く優しい笑み浮かべて此方を見つめていた。

『…どうした』

gr「いつか、俺らのことを仲間と呼んでくれるとええな」

『…』

gr「そう、思っただけだ」

　柔らかい表情をフッと引き締めて、威厳のある“総統閣下”の顔に戻り再び歩き出す。
　大きな手に引かれるまま私も歩き出す。

　矢張り、不思議だ。何故初対面の私にそんなことを言うのだろうか。

　この城の人は…いや、この国の人は、分からないな。

　カツカツカツと響く乾いた音が、何故か少し心地良く、薄く目を細めて僅かに口角を上げた。

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