ぶたとクマの物語 -More stories-

24.涙は流星群 ページ24

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…行くわけない、そんなの、
どうせ忠義くん待ってらんないでしょ。
来るまで。なんてさ、





「…知らない、行かないし…」




ってベッドに横になって、1時間。







「……なんで帰ってこないの。」





まさかほんとに待ってるの？
寝るのが大好きな忠義くんが？






「…んなわけ。」




そう思うけど、帰って来てないのは事実で





「……」




靴を履いて、ホテルを出る。
裏に回って、海へ続く一本道を歩くと


ｻﾞｻﾞｱ…という海の音。
虫の鳴く声。
ほくろうのﾎｰﾎｰ…という鳴き声。


深夜は幻想的な星のカーテンが広がる。





「なにしてるんですか」
大『A』





なにホントにベンチに座って待ってるの。




ありがとう来てくれて。ってまた笑う






大『な…、座って？』
「……」






上手く断る理由がなくて、
言われた通りに座る。






…それから私と忠義くんは
しばらく海の音を聞いてた。





大『星、めっちゃ綺麗やな』
「そ、うですね」
大『……流れ星に、今なに願いたい？』
「………」







何その質問…





「わかりません」
大『俺はさ』




星空を仰ぎながら彼は言った





大『戻りたい』





まさか
そんな言葉が出てくるなんて。




「部屋戻ります」





焦った私はそう言って、
彼から離れようとしたけど





大『行かんといてっ』




って聞いたことない位の
消えそうな声で言うから、




足が止まってしまったじゃない。





そんな私を後ろから抱きしめ




大『ごめん…』




わからない。
なんで愛想つかさないの？





チュ。とおデコに落とされた口付け。







「…っ…」
大『…、』






砂浜に落ちていく涙は、






大『A…。』
「なんで」






…なんで私のなの？







「どうなってるの」





わたし泣いてるの？





大『好き、』
「…やめて」
大『好きやねん』
「やめてください！」




大『…強がり？』
「違いま、」






真正面から抱きしめられて、
ビクッと身体が跳ねると、
また忠義くんがギュッとする。






「私は横山さんが好きです」
大『でも来てくれた。』
「それは、風邪ひくんじゃないか
って思って」




大『心配してくれてるやん？』
「だって」
大『だって…？』
「……」


大『なに…？』
「…っ帰りますっ」
大『Aっ！』






腕からすり抜けて、一生懸命走った。
足取りの悪い砂浜を駆け抜け、
流れる星も涙も、ふりきって。

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