にかちゃんだよ〜とは言えない③ (ページ34)

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緊張の糸ページ34

sideせんが

「おつー。」

「A……ちゃんじゃん。」

事務所内の自販機スペース。今日はニカと一休みしようと立ち寄ってみたら、Aちゃんがちょこんと座っていた。

ニカは人の目があるところではキスマイのメンバー同様Aちゃんって呼ぶことにしている。

そのはずなんだけどまだまだ慣れないらしい。Aちゃんが事務所に入って結構経つのにね。

「お疲れさまです。……お元気そうで何よりです。」

「どうした？」

明らかに疲れているように見える。さすが兄、ニカはささっと片膝を床について本当に心配していて。声色もいつもよりだいぶ柔らかい。

オレもAちゃんの隣に少し隙間を開けて座る。

「緊張解けてどっと疲れが出て……。」

「緊張？」

「ドッキリでキムタクさんが仕掛け人で。分かってるからかムダに緊張しちゃって。」

まさかの返答だった。ニカも木村さん！？ってその名前を復唱。

どうやらSnowManの冠番組撮影の体でドッキリが仕掛けられ。マネージャーだからその全容を知らされていて、メンバーの動きにヒヤヒヤしていたらしい。

でも顔に出すとメンバーに怪しまれるからといつもの表情を維持しようと思ったけどいつものってなんだ？と軽くパニクったとのこと。

木村さんか。……流石にオレでもめっちゃビビるだろうな。

「それはくるね。……なべ、大丈夫だった？」

「チャンバラしてましたけどなんとか。」

思わずなべが気になっちゃったよね。にしても木村さんとチャンバラっていったいどんな企画？

少し話したことで落ち着いたのか、手に持っていたコンポタの缶を一口飲むAちゃん。そしてなぜか追加でもう一本コンポタを買ったニカはAちゃんの横に置いた。

……そんな飲むか？

「さすがにぃ……ニカさん。わかってらっしゃる。」

「まあね。」

飲むんかい！割とすぐに手に取ったし。……こうなればオレも何か労おう。

お菓子の自販機の前に立ち、Aちゃんが食べてるところを見たことがあるものを買って。すぐさまお疲れ様ですと手渡せば、ぱあっと雰囲気が明るくなった。よかったよかった。

「あ、いた。Aさん。……お、お疲れ様です！」

「「おつかれー。」」

そして探しに来たらしい岩本に連れられてこの場を去ったAちゃん。そして厳しい顔のニカ。

「はい顔怖いでーす。慣れてくださーい。」

「慣れないんだもん……。」

なんだニカ、かわいい生き物じゃん。