にかちゃんだよ〜とは言えない③ (ページ4)

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ハチワレちゃん③ ページ4

sideあべ

事務所内を歩いていると、めめとこーじが人狼部屋で突っ立って何やら少し慌てている風で。声をかけてみれば、なんと猫がいるのだという。

猫？事務所の中に潜り込むなどできないはずだ。となれば、誰かがここに一時的に置いていったのだろうか。

「あ、そこに書き置きあるよ。『ここにいる猫はみーちゃんといいます。一時的にお休みさせてます。おとなしい子なので大丈夫だと思いますが、何かあったら二階堂まで。』……え、二階堂くん猫飼ってたの？」

オレがテーブルにあった書き置きを見つけ読み上げれば、めめとこーじが声を揃えて「二階堂くん！？」と驚く。たしかに猫のイメージはない。

というかこの子、みーちゃんっていうんだね。みーちゃんってことは女の子かな？俺はいつものクセ？でしっぽを少し上げさせてもらって確認。……女の子だった。

「……あべちゃん、そういうことするんだね。」

「え、男の子か女の子か気にならない？」

「ま、まあそうやな！」

見ず知らずの大人の男3人に囲まれているのに動じる素振りも見せず、ゴロンと寝ころんでゴロゴロしているみーちゃん。

試しに触ってみると、なかなかな毛並みで気持ちよくて何度もなでなでしてしまった。

「あべちゃんばっかずるい。オレも触る。」

「オレもなでなでするで！」

めめとこーじと場所を交代して少し後ろからその様子を眺める。

こーじが顎の下をこしょこしょしていて気持ちよさそうに顔を上げているし、めめの背中なでなででしっぽがぴょこぴょこ動いていて。

見てるだけでも癒やされるねぇ。でもこう見てるとまたなでなでしたくなる。

「にゃっ！？」

と、突如飛び跳ねたみーちゃん。さっきまでの気持ちよさそうな顔とは一変、人間のオレから見てもちょっと焦ってるのが分かる表情をした。

そして人狼部屋の隅の緑のコーナーに登り、オレたちと距離を取った。

「ふれあいタイムはここまでみたいだね。」

「そやなー。ありがとな、みーちゃん。」

めめは笑顔でお手振り。……やっぱり様になるねぇ。そして本来の目的地へ向けて再び歩き出すと。

「みーちゃんさ、ちょっとやけどAさんっぽい匂いせんやった？」

「……確かに。したわ。」

「え、こーじもめめもAちゃんの匂い覚えてんの？」

「毎日会ってれば洗剤の匂いなんて覚えるよ。多分ラボンや！」

ラボンって玉森くんがCMしてるやつ？だとしても服も着てない猫から匂いするのか？