にかちゃんだよ〜とは言えない③ (ページ21)

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きみ、ぼく。① ページ21

sideいわもと

「何かエモいことでもあったの？」

「えっと、この曲です。」

ロケバス内でエモいことがあったらしいAさん。佐久間が聞いてみれば、音楽プレーヤーの再生画面を見せてくれた。

「歌詞の中にメンカラ入ってるのがエモくて。」

「あー、確かにそうだったね！なかなかないよねー、こういう曲。」

画面に書かれていたのはキスマイ兄さんの「君、僕。」。佐久間はもちろんよく知っていて、一緒に確かにエモいね！とニコニコ。

「曲単体でもエモいんですけど、さっき皆さんがバスに帰ってきた順番がこの曲の歌割り順でエモいっていうか奇跡だったんです。」

「歌割り順？」

オレが聞き返すと、歌割りまでは分かんないですよね、とAさんがタブレットを取り出して歌詞を見せてくれて。

「えっとここの最初のところ。まずたまさん、でここからにかさんも一緒に歌ってるんですよね。」

「うん。」

「で、おふたりのメンカラが黄と緑なんですけど、バスに一番に帰ってきたのがひかるくんと阿部ちゃんで。」

「ああ、メンカラがおふたりと一緒。」

「そうです。で、次のここの部分が北山さんとよこーさん。」

「えーと、北山くんと横尾くんのメンカラは赤とオレンジだから、舘様とこーじかな？」

「さっくん正解です。」

そこからはさっき帰ってきた順番を思い出せば、Aさんの解説通りだった。そのあとに翔太、ふっか。最後に佐久間とめめ、ラウ。

……というかAさん、前キスマイ兄さんと関わっていたとはいえ、歌割りまで覚えてるってすごいな。

「すげー、なんかこの歌割りいいねー。オレだったらピンクのガヤさんのところか！」

「そこなんです！さっきまで皆さんのメンカラに置き換えて、SnowManで歌ったらどうなるんだろうって考えてたんです！」

これが一番伝えたかったことらしい。なぜなら一段と目がキラキラしているから。あんなに目って輝かせられるんだなって感心してしまう

「それならオレは玉森くんのパートか。」

「ですね。ただめめくんとラウくんのパートがないんですよねぇ。」

少しシュンとしてしまった。頭に犬の耳がついていたとしたら、折れ曲がって元気なさそうに見えるだろう。

かと思えば、すぐに仕切り直してちなみに原曲で一番エモいのはニカ千のここと藤北のここです！とまた目をキラキラさせて。

目まぐるしく変わる表情に、しばらく目が離せないでいた。