にかちゃんだよ〜とは言えない③ (ページ3)

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ハチワレちゃん② ページ3

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「……で、この子がAちゃん？」

「そうなんですよー。」

「喋った！？」

にぃにが電話していたよこーさん。電話で聞くだけのつもりだったらしいけど、なんと家まで来てくれて。

電話で事情を話していたから、猫用の餌を買ってきてくれていた。正直気持ち的には人間なので餌を食べるのに少し覚悟がいるなって思ってるけど。

私……という名のハチワレ猫が人語を話すとは思ってなかったみたいで、よこーさんは少し腰を抜かしそうになっていた。

「猫の声もちゃんと出ますよ？ニャーン。」

「お、おお。……そうなると完全に猫だねぇ。」

よこーさんに頭をなでなでされている間に差し出されたのはチュール。少し匂いを嗅いでみようとクンクンしたとき。どうやら猫の本能があるらしく、気付けばパクっといっていた。

そして普通においしい。人語を話せるし理解もできるけど、味覚はちゃんと猫だった。

「……わた、頭以外は撫でないで。」

「え？」

「身体はセクハラでしょ？」

「いやいやいや、猫ちゃんだから。」

と、よこーさんが私(猫形態)の背中やお腹を撫でてるのが気になったらしいにぃに。私としては気持ちいいし言ってる通り猫形態だから別にいいんだけれど。

もちろんそれを伝えて、にぃにも渋々納得してくれた。

「夕方からどうする？Aひとりになっちゃう。」

「どうするも別に問題ないよ？食べ物そこに置いといて貰えればお腹空いたら食べるし。ソファで寝とく。」

「やだ。……よし、連れてこ。よそじゃなくて事務所だし。」

どうやらにぃに、猫同伴出勤をかますらしい。

「よーし、みーちゃん、ここでおとなしくしててねー。」

「にゃあ！(わかった！)」

そして本当に猫同伴出勤を行ったにぃには私に「みーちゃん」という仮名をつけて、俗に言うスノの人狼部屋に置いて仕事に向かった。

普通の猫なら脱走したりここの草食べちゃいそうだけど、私はなんて言ったって元は人間だ。そんなことはしない。

一応事務所の人に許可は取っているらしいけど、普通こんな放し飼いしないよなぁ。

猫になったらスマホも触れないしやることもないので、ゴロンと横になる。しばらくだらけていると。

「あれ？」

「猫おるやん。」

その声の主は私がよく知っているもので。

「めめー、こーじ、どうしたの？」

「阿部ちゃん、見て。猫。」

「猫がおるんや、事務所の中に。」

めめくんにこーじくん、阿部ちゃんだった。