にかちゃんだよ〜とは言えない② (ページ42)

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京都ロケ② ページ42

sideみやだて

映画村。朝の番組のロケで来ているわけだけれど、時代劇に出たいと願っているオレとしてはワクワクする場所だ。ここでは時代劇衣装体験とお化け屋敷での撮影がある。

まずは衣装体験。いくつかある候補からどれにするか決めていく。各々内緒で選んであとから見せ合うことになって。

「舘様なら何着ても似合いそうですねー。あー土方歳三かお殿様かな……。」

「ほう。そうだね。……お殿様で行こうかな。」

オレが衣装を選ぶ際にはAさんも一緒に見てくれて。なんだろうね、結婚式で着る衣装を選んでるような感じじゃないかな。そんなこと考えたとは流石に口には出せないけれど。

「やったっ！じゃあ楽しみにしてます！」

「うん、じゃあまた。」

着替えるためのスペースに案内され、早速頭からセットされていく。どうせならAさんに御台所風な衣装を着てもらって並んで撮ってみたいけどね、これはロケだからそうはいくまい。

「舘様めっちゃ似合うやん。」

「かっちょええ！」

「時代劇出れるで。」

皆さんの着替えも終わり、いい感じに登場シーンを撮ってもらったあと。山添さん、辻さん、ケツさんからすごくありがたいお言葉を頂いた。

歌舞伎で和装はしてきたけれど、こうして褒められるとやはり嬉しいもので。

「藤堂さんなんか写真撮りまくってんで。」

山添さんが言っているとおり、スマホのカメラをずっとオレの方に向けているAさん。そして連写のシャッター音が聞こえてくる。

「やっぱり舘様そのかつら似合いますね！和でも洋でもロイヤルとか希少ですよ。」

「ありがとう。……連射音がすごく気になるけど。」

その後、時代劇風なコントを撮影して、衣装体験はお開き。

衣装を脱ぐ前にちょっとだけ時間をもらって。

「撮りたいポーズの癖つよ。」

「こんな体験なかなかできないですからねー。」

山添さんにお願いして、オレとAさんの写真を撮ってもらった。ポーズはAさんの希望である、後ろから腕を回し、喉元に刀を突き立てている姿勢。

……つまり、割と密着している。

Aさんは深い意味もなくただただこういうありえないシチュエーションを撮ってみたかったんだろうけど、オレからすればだいぶ心臓がうるさい。

以前酔った勢いでハグされたことはあるけど、したことはないからさ。

この写真、グループメールに送ったらどうなるかな。でも独り占めしたいからやめておこう。