にかちゃんだよ〜とは言えない② (ページ44)

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はいあーんページ44

sideいわもと

「はいどうぞー。」

「いや、自分で食えるから。」

「どうぞ？」

「圧ー。……わかった、食べる。」

ピックに刺さった生チョコ。それをオレに差し出しているのはAさん。断れないほどの圧をかけてオレに対してあーんしてくる。

これ以上は回避不可能ということで、おとなしくカプッと一口。大好物のチョコ、美味しくないはずがない。

「わーいいなー。オレも食べたーい！」

「……っと、はい。あーん。」

「あーん。」

隣に座る阿部にいたっては自分からもらいに行ってる。

……まあそれもこれも、度数クソ高なこのお酒のせいなんだけど。

「いやあ驚いたね。あんなにグイッと飲むもんじゃないからどうなるかと思えば。」

「舘さんもそんな強い酒出さないでよー。」

「飲みたいと言ったのはAさんの方だから。」

現在、93年会のメンバーで舘さん家で宅飲み中。

舘さんの手料理の他、舘家貯蔵のいろんなお酒、そしてオレ･阿部･Aさんの手みやげがテーブルに並んでいる。生チョコは言わずもがなオレが持ってきた。

で、お酒には強いはずのAさんが目に見えて「酔っている」のがわかる理由としては、前述の通りチビチビ飲む度数クソ高なお酒をグイッといってしまったこと。

いろんな種類のお酒が並んでいる舘さん家、お酒の棚を見たときのAさんの目の輝きようが半端なくて。それでこの家で一番度数が高いお酒を出してもらっていた。

阿部に関しては度数クソ高なお酒関係なく普通に酔ってるだけなんだけど。舘さんも相変わらずゴクゴク行ってるけれど強いからそこまで酔っているようには見えない。

ちなみにオレは、酔って寝ぼけた勢いで抱きしめてしまうという失態が頭に残っているから、眠らないようにスローペースで飲んでいる。

「はい最後ー。だてさまー。」

「オレもいいの？」

「もちろーん！ご飯作ってもらったしねー。はいあーん。」

「あーん。」

結局みんな生チョコ食べさせてもらってるし。オレだけかと思ったんだけどな。なんか悔しい。

「じゃーあ、Aちゃんにはオレが食べさせてあげるねー。」

「いいの？やったー！」

今度は阿部がAちゃんに食べさせている。と思ったら流れるように舘さんにバトンタッチしちゃってんじゃん。

「次はひかるー。」

「オレもなの？」

「オレも舘様もやったからひかるでしょ？」

阿部ナイス……！結局みんなで食べさせあった。