にかちゃんだよ〜とは言えない② (ページ28)

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ゆり組の休日？① ページ28

sideわたなべ

「翔太くん、ちょっとお願いがありまして。いいですか？」

「お、おう。」

事務所でボイストレーニングしていたある日、Aさんからお願いがあると言われ。色々あって名前で呼んでくれるようになったのは嬉しいんだけど、オレちょろいからすぐドキッとしちゃう。

「さっくんが行く予定だったロケ、代打で行って頂けないかと……。」

「というと、どのロケ？」

「舘様と一緒に遊園地と川アクティビティに行くロケです。」

「あー、朝のやつのね。いいよ、行く。」

メンバーのスケジュール見たとき、羨ましいけどちょっとハードル高そうだなと思っていたロケだった。なぜハードルが高いか、あの番組、情報番組じゃなくてほぼお笑い番組だから。

ハードルが高いと思ってるのになぜ即決したのかというとそれは単純だ。涼太、それにAさんもこのロケに同行するから。

涼太はあの朝の番組のことよく分かってるから上手いことやってくれるし助けてくれるんじゃないかなって。あとはロケとはいえAさんと遊園地行けるとかいいじゃん？

そしてロケ当日。涼太だけではなく芸人のすゑひろがりずのおふたりもいて、ジャージの色が赤青黄緑。UNOの4色ってことで心の中でツボってしまったよね。

そしていざ撮影開始！ってなったら、近くに飛行場があるせいか飛行機ビュンビュン飛んじゃってオープニング撮り直し。

その流れが面白かったらしく、笑っているAさんの顔を見れたから、撮り直しだと言う沈んだ気持ちがちょっと紛れた。

「なんと！A姫は我らのYouTubeを見てくださっていると！」

「ありがたや！」

次の撮影場所に向かっている途中。カメラが回っていないタイミングでなぜかすゑさんとAさんが話している。それに三島さんからA姫などと呼ばれているではないか。

ロケで一緒になった女性にその呼び方なのは見たことがあるが、まさかスタッフ側の人にもそんな呼び方だとは。いつものくせなんだろうけれど。

「宮舘王国の姫ですからね、A姫は。」

「なぬ！？そのようなお方であったとは……！」

涼太も姫に乗っかって謎の設定を作り出した。南條さんもそのノリを続けてて。……これが朝の情報番組の皮をかぶったお笑い番組だ。カメラ回ってないのにこれ。

「そして翔太は隣国の王子かつ幼なじみなので。」

「オレも！？」

てか巻き込まれたんだけど！