にかちゃんだよ〜とは言えない② (ページ12)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:139,277 hit

君との始まり② ページ12

sideさくま

Aちゃんがマネージャーになってからしばらくたったある日。その日オレは事務所に忘れ物を取りに戻ってて、時間はあと少しで日付が変わるくらい。

SnowMan関連のことをやってくれてるスタッフさんの執務室の電気がついてたから、挨拶して帰ろうかと思って寄ってみたらAちゃんが一人でいて。

挨拶だけしたらすぐ帰ろうって思ってたのに、女の子を一人で残すのはイヤだなって思えて、することなんて無いのに隅っこの席にポツンと座っちゃうオレ。

邪魔になるかもしれないと思いつつも、これだけは聞いておきたかった。

「あとどれくらいで終わりそう？」

「あと10分くらいですかね……。」

「お、あとちょっと！」

10分ならもうすぐじゃん。終わるまで待っていよっと。今日覚えた振りを脳内で再生してイメージトレーニングしていると10分なんてあっという間。

Aちゃんの終わったーって声が聞こえてきた。

「ギリギリ日付変わんなかった！やったね！」

「ですね！……というか、なんか待たせちゃってすみません。」

「いーのいーの！オレがなんとなく待ちたかっただけだから！……にゃでにゃでする！」

昼間じゃ絶対やらない、Aちゃんへの頭なでなで。深夜テンションの今、流れるようにやっちゃったよね。

その時のAちゃんの目。それがしばらく頭を離れなかったんだ。

頑張りすぎてギラついてた目から、ギラつきがすっと消えて穏やかになって。ああ、オレって役に立ったんだって思えた。

「なんかホッとしました。ありがとうございます。」

「お仕事、お疲れ様であります！」

シャキンっと敬礼すれば、笑ってくれて。……この顔はオレだけに見せてくれてる。今だけは、オレのもの。

そこからなんだよね。Aちゃんの笑顔が見たくていろいろやり出したの。その過程で実は甘えたほうが表情が柔らかいんじゃないかって気付いて。

なんでも、弟がほしかったって。オレは年上なんだけどね、実際オレは弟だから、弟感出すのはうまいんだー。

しばらくしたらこーじもAちゃんに弟感を出してきて。それはそれで弟ふたりになって嬉しそうだった。

でもやっぱりお姉ちゃんからの愛情は独占したいよね？

とは言っても、大々的にそんなこと言ったらヤバイことになるのは目に見えてるから心の中に封印しているんだ。