にかちゃんだよ〜とは言えない① (ページ10)

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ゆり組さんとそのオタク② ページ10

sideわたなべ

涼太、阿部ちゃんと一緒の撮影。けれど現在、二人は席を外しているので、この部屋にいるのはオレとマネージャーの藤堂さんの二人。

……正直言うと、こんなとき何話していいか分からない。どうせすぐ帰ってくると思うから無言で過ごしてもいいんだろうけど、それだとね。

黙ってると怖く見られそうな気がして。藤堂さんがマネージャーになって一年経つのに未だにそんなこと思ってるのなんでだよって感じだけど。

「そうだ、渡辺さんもさっきの写真送りましょうか？」

「さっきって涼太との写真？」

「そうです。けっこういい出来だと思うんですけど。」

オレが何を話そうか迷っているところで藤堂さんの方から話しかけてくれた。そしてこっちに近付いてくる。

……え、待って。ちょっと心の準備できてないんだけど。オレ、藤堂さんの前だとちょっと調子狂うというか、無駄にドキドキするというか……。

たださっき撮ってた写真見せてくれるだけだっていうのに。

「おお。……ちょうだい。これと、これ。」

「よかったー、気に入ってもらえて。今から送りますねー。」

そう言うと、もといた位置に戻っていく藤堂さん。調子狂うと言っておきながら離れたら離れたで残念がるとか。マジでオレ意味分かんない。

「あ、宮舘さーん。さっきの写真なんですけど……。」

涼太と阿部ちゃんが帰ってきた。それを見た藤堂さんはささっと立ち上がり、涼太のもとへ。阿部ちゃんやオレに見せたのと同じようにさっき撮った写真を見せている。

涼太はこれとこれとこれお願いしようかな、とレストランでメニューでも頼んでいるかのような調子で写真を選ぶ。なんでいちいち貴族感あるんだろうな。

「翔太、ヤキモチ？」

「え、何が？」

「目は口ほどに物を言う、って感じだから。藤堂さんへの視線が。」

藤堂さんと涼太を見ていたら阿部ちゃんがそんなことを言ってきた。……オレ、そんな目で見てたか？そんなつもりはないんだけどな。

そうつぶやけば、阿部ちゃんは自覚ないやつかな？って。

いやいやいや、そういうのじゃないし！

「そっか、ならそういうことにしとくね。」

「……ぜってー納得してないだろ……。」