にかちゃんだよ〜とは言えない① (ページ35)

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催眠② ページ35

sideめぐろ

俺の撮影の番になって撮影場所に入ると、先に撮影していたこーじと様子を見ていたらしいAさんがいた。

こーじは最初誰かと思って。いつもかっこいいけど、今日はそこに色気も加わって本当別人みたい。その隣にいたAさんは珍しくメガネをかけていた。

ひかるくんも噂になっていたらしいこーじの盛れ具合を確認しに来て。ひかるくんもひかるくんで髪を下ろしてサングラスをかけてて。

オレも普段はしないような衣装だし、今日はみんないつもと違う感じだ。

「今日はメガネなんですね。」

「昨日でコンタクト切れちゃったんですけど、届くのが今日なんですよねー。」

「オレ、メガネ姿初めて見ました。」

「めめ、そんな至近距離で言わなくていいから。」

無意識のうちにAさんに近寄ってじーっと見つめてしまった。

ひかるくんがオレを引っ張らなかったらもうちょっと近寄ってたかもしれないと思うとホッとした反面、もっと近くにいたいと思ってしまったり。

「……ん？」

「な、なんでしょう？」

俺が引き離されたと思ったら、今度はこーじがAさんをじーっと見つめている。ひかるくんがお前もか、ってため息ついちゃったよ。

「こうして見ると、誰かに似とるような……。」

「こーじ、それいろんな人に言ってるやつね。」

「や、違うんよ照兄ー。これはホントに！」

よくある、見てると誰かに似てると思えてくる、てやつ。俺は特に思いつかなかったけど、事務所で見たことある気がするんよなーとこーじは本気で悩んでるようで。

メガネかけたところが似てるなら結構絞られてきそうな気もするけどね。

チラッとAさんを見てみると、なんとも言えない表情をしている。誰に似てると言われるんだと言うドキドキ感かな、なんか冷や汗かいてそうなそんな顔。

「わかったで！北斗や！松村北斗！」

「北斗くん……？」

「眼鏡のフレームだけ見てない？」

北斗くんの名前をつぶやいて顔を思い出してる間に、ひかるくんがフレームツッコミ。Aさんはあんな色っぽイケメンに似てるわけないじゃないですかーと、なんかちょっとホッとした顔で否定する。

「似てるかはともかく、メガネでなんか色気増してます。」

「えっ？あ、ありがとうございます？」

「こらー！めめ、目合わせてそんなこと言ったらあかんて！」

事実だから言っちゃうのは仕方ないよ。