にかちゃんだよ〜とは言えない① (ページ33)

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深海の君③ ページ33

sideあべ

オレが吊るされる撮影は終わって、次は舘様の番。佐久間もいて俺の撮影を見ていてくれたらしい。もちろんマネージャーのAちゃんもね。

「お疲れ様です。これで阿部さんの分は終わりでしたよね。」

「はい、終わりです。」

舘様のちょっと見てから着替えてきます、と言って、Aちゃんの横を死守。佐久間は反対側にいるから、取られることなんてないけどね。

と、オレの左側……Aさんのほうから視線を感じる。

「こっち側もおしゃれになってますね。髪の毛。」

「そうなんだ、いいでしょー。」

このタイミングで左サイドのおめかしに気付いたみたい。

返答すると同時にAちゃんの方を見たんだけど、おーって感じで口をちょっと開けてて、なんともかわいらしい。

「Aちゃんも今日はお団子になってる。」

「ああ、さっき邪魔だったんで適当にやったんですよねー。」

珍しくお団子ヘアになっていたので言ってみると、オレみたいにおめかしが目的ではなかったらしい。それはそれですごいな。

聞いていたらしい佐久間が改めてAちゃんの後ろ姿を見てお団子だったの！？と驚いている。……気付いてなかったんだ。

「おだんごー！……きなこ団子食べたいなー。」

「めっちゃ飛躍した。」

「よし、分かりました、お団子頼んできますね！」

何だこの急展開！？Aちゃんが他の団子と一緒も頼みますね！と電話をするためにスタジオを後にした。オレも佐久間も呆気にとられた。

「そういう意味じゃなかったんだけど……でも食べられるのは嬉しいなー。」

「スピーディーに対応するところ、本当Aちゃんって感じだねぇ。」

Aちゃんは普段のお仕事もすぐに処理できるものはすぐに対応してくれるタイプ。

以前、迅速な対応ありがとうございますとお礼したときは、時間置いたら忘れちゃいそうだからと理由を話してくれた。

……そうだよね、今できるなら早いうちに対応するに限るよね。

「頼んできました！30分ちょいで着くらしいので、佐久間さんが終わったときには届いてるはずです！」

「ほんと？ありがとう！」

「ありがとー！」

電話から戻ってきたAちゃんはそれだけいうと、今度は違うスタジオで撮影中のなべふかラウチームの方に行ってしまった。

……なんで一緒の日に撮影だったんだろ。いわめめこじチームがうらやましいなぁ。