にかちゃんだよ〜とは言えない① (ページ29)

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がーるあい……② ページ29

sideふかざわ

ユニット曲の話し合いのあと、Aちゃんから上の人に話を通してもらって、曲が出来上がりそしてMVの撮影日。

この曲のMV、深澤の頭の中ではAちゃんの家に棲みついている妖精のつもりなんだよね。……撮影は全部グリーンバックだけど。

「翔太、顔硬くね？」

「ほんとだー、しょっぴーちょっと柔らかく！」

「まじで顔作んのムズいわ。」

試しに曲の最初の方を撮ってもらったけど、翔太がなかなかの硬い表情をしていて、オレとラウールは爆笑、翔太も翔太で笑っちゃってる。

Aちゃんもこの撮影に付き添ってくれてて、一緒にこの映像見てるんだけど、頑張って笑いをこらえているようで。分かるよ、なんか笑っちゃうよね。

「翔太、オレはこのグリーンバックをAちゃん家だと思ってやってる。」

「え。ふっかそんな妄想してたわけ？」

「全面グリーンならそれくらい思わないと。」

ちょっとでも解れたらなーと翔太に言ってみたら、引いた顔してきた。こっちだって工夫してないとやってらんないかんね！？

逆にラウールはそれすっごくいい！と乗ってきてくれて。

あ、もちろんAちゃんの前で堂々とそんなことは言えないから3人でこそっと話してるよ。

じゃあさっきのところもう一回、と声掛けがあり所定の位置へ。歌いだしはオレだからね、MVで音が乗らないとはいえちょっと緊張する。

ふぅと一息吐いて前を見ると。

……Aちゃんじゃん。

さっきの撮影の時はいなくて終わったあとに入ってきてたから、今日の撮影を見るのは今が初めてで。ちょうどオレの視線の先にいるとは。

監督さんのカウントダウンが始まる。よし、これはAちゃん家設定に深みが増す！……自分で言っといてちょっと照れくさいけど。

♪〜

「おおー、いいんじゃない？」

ワンシーン分撮り終わって、すぐにさっきの映像を見る監督さん。あきらかに初回とは違う顔をしている。のびをしてラウと翔太と一緒に確認しに行くと。

「めっちゃふっかさんいい顔してる。」

「訴えかけてくるじゃん。」

「めっちゃAさん見てたもんねー。」

「そうなの？だからかー。」

ジト目で見てくる2人。

「な、なんだよその目。」

「なんでもなーい。ね、しょっぴー。」

「ああ、なんでもない。」

しかたないじゃん、ここ一年気になってる人が目の前にいたらさ！