にかちゃんだよ〜とは言えない① (ページ24)

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何かの実験④ ページ24

sideいわもと

藤ヶ谷くんと横尾くんによる謎の撮影会が終わり、違う階に用事があったAさんとはさっき別れて。

オレと阿部はJGRの部屋にお邪魔していた。今日は佐久間が出演する回の撮影ってことで隅っこでその様子を見学しつつ、さっきあったことを二人で思い返す。

「あれ、どう考えても二階堂くんはAさんのこと気になってるよな？」

「じゃないとあんな顔しないよねー。」

今思い出してもヒヤッとする、オレを射抜くようなあの視線。声も低くて久しぶりに怖いって思ったし。

それに、取ってつけたようなAさんへのちゃん付け。普段は呼び捨てしてるのではと思わせる言い方だった。

「でも付き合ってるかと言われたらそうじゃない気がする。」

「それは思った。もしそうならオレの服の裾掴まないよね。」

以前オレが盗み聞きしてしまって浮上した二階堂くんとAさんの付き合ってる疑惑。だが今日の出来事からしてその線はないような気がする。

ただ恋人としてでなくとも、オレらよりは付き合いが長いこともあってかなり親しいということは想像できた。

「そういえばAちゃん、ひかるとだいぶ至近距離だったのに平気そうだったね。」

「……そうだった。オレとしてはちょっとショックだったわ。」

「よく練習用マイコやってたから慣れてるんじゃって横尾くんが言ってたよ。」

「とは言っても、藤ヶ谷くんのときはめっちゃビクッてしてたからなぁ。」

オレが気になったもう一個がそこ。Aさん、至近距離だったのになんともなさそうだったこと。

オレだけドキドキしてたのかと思うとなんか悔しい。直前の藤ヶ谷くんが色気ありすぎるのがよくなかったのかもしれないけど。

阿部も、藤ヶ谷くんは異次元だからしょうがないかもねぇと慰めてくれた。

「ひかる、阿部ちゃん、どしたのー？」

気付かないうちに佐久間の撮影が終わっていたらしい。興味津々といった感じで、はにゃ？と頭をかしげている。

もともと佐久間に話したくてここに来ていたから、もちろんさっきあったことを話した。

藤ヶ谷くん主導の何かの撮影でヒヤッとしたこと、そしてちょっとショックを受けたこと。

「マジか。よしよし、ひかるはじゅうぶんかっこいいよー。」

そう言って背中に飛び乗ってきた佐久間。おんぶしているような形になる。

後ろから包み込まれる感覚になんとなくホッとした。こういうときの佐久間の明るさには本当救われるわ。