にかちゃんだよ〜とは言えない① (ページ20)

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危ういところ⑥ ページ20

sideむかい

個室居酒屋を出たあと、舘さん家にお泊りすることになって。

家について舘さんが貯蔵しとるシャンパンを開けて乾杯したと同時。

「なぁ、Aさんの横にいたのって彼氏なんかなぁ？」

「山田さんの彼氏という線も捨てきれないけど、なんか違う気がするんだよね。」

「やんな！どう見てもAさんのほうなんよな……。」

話題は居酒屋の会計で見た、キャップと眼鏡とマスクの男。少し聞こえたAさんとの話っぷりから、彼氏なのではないかという説がオレたち二人の間に浮上した。

「オレの勘違いかもしれないけど、言っていい？」

「なんや？」

「……あれ、二階堂くんじゃなかった？」

「ええっ！？」

舘さん、まさかの二階堂くん説。顔はほとんど分からなかったけど、背丈や聞こえてきた声が二階堂くんのような気がして、と根拠を説明される。

そう言われてみれば、やな。

背の感じはオレらと変わらんくらい、声もどこかで聞き覚えがある感じ。

……まさか、まさか？

「ひかるが聞いたって言ってたんだよね、二階堂くんとAさんが話してるとこ。」

「うん、言ってたで。遠慮なさそうな感じやったって。」

「それ踏まえると、あるんじゃないかって。」

「やばいて！ほんまに付き合っとるんかも。」

変にテンション上がって、シャンパンが進む。ええ事とは言えんけど、他人の関係を想像するのってなんでこんな楽しいんやろ？

もちろん、舘さんと二人で今日見たことは言わんとこ、ってなったから二人だけの秘密や。……これもいい響きやな。

こっちが勝手に想像しとるだけで、二階堂くんのそっくりさんかもしれんしな。