にかちゃんだよ〜とは言えない① (ページ19)

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危ういところ⑤ ページ19

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にぃに着いたから出てきて

Aはーい

にぃにからのメッセージが届いた。荷物と伝票を持って友人とともに部屋を出る。お会計の方へと行くと、そこでにぃにが待っていた。

パッと見ではわからないようにキャップを目深にかぶり、眼鏡とマスク。1歩間違えれば不審者だけど、眼鏡からこっそり見える目元で判別できた。

「オレが払うから。」

「え、いいよ。私達が飲んだし。」

「いいから。こういうときはおとなしくおごられなさい。」

「……ありがとう。」

「ありがとうございます！」

本当に優しい。……見た目不審者だけど。

レシートを受け取ったにぃには、これとこれとこれはAが飲んだんでしょと当ててきた。そりゃそうか、酒の好み似てるから分かるよね。

さあ帰ろう、と出口の方に向かおうとすると。

「あ、Aさんも今帰り？さっきはありがとうな！」

隣の部屋にいた向井さん。隣には宮舘さんもいて、優雅にお辞儀してくれた。帰るタイミングが被ってしまったようだ。

……やばい！二階堂高嗣いるんですけど！

危険を察知したのか、にぃには何も言わずそそくさと店を出た。私も挨拶はそこそこに急いで店を出て、にぃにが乗ってきたタクシーに乗り込み、先に友人の家へと向かってもらった。

「ヤバかったー。……というかなんで宮舘と向井いたの？」

「偶然だよ。席立ったらちょうど二人がいてさ。1杯だけ一緒に飲んだ。」

「はあ？一緒に飲んだ？」

「怖いって。さっき言ったとおり1杯だけだよ？それ以外は別の部屋だったし。」

友人がめっちゃ苦笑いしている。……すまない、こんなところで軽い兄妹ゲンカ。微妙な空気の中、友人の家に到着し、バイバイとお別れ。

ここからは兄妹と運転手さんだけ。ちょっとした言い合いが続いたものだから、運転手さんも苦笑い。

家に着いて料金を払ったあと、運転手さんに小さな声で「頑張ってね」と声かけられた。……ほら、第三者からみたらにぃにが過保護なんだよね。

「男と飲むならオレに言ってよ。」

「えー、私はにぃにが女の人と飲んでても気にならないけど。」

「オレは報告ほしい。」

「……そもそも、男の人と飲むって事務所関係しかないから、言わなくていいでしょ。」

「やだ、聞きたい。」

だめだ、このモードのにぃにはこっちが折れるしかない。わかったわかったと言って、この話を切り上げた。