誘ってみよう��🍆 ページ9
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姉と事務所近くのカフェで待ち合わせして横浜スタジアムに行こうとしていたあの日。
カフェに入ると、一人で待っているはずの姉が誰かと話している。
え？ナンパされてる？そう思って近づいたら、なんと阿部くんだった。話を聞いてみれば、偶然見かけて声をかけたとのこと。そして野球観戦に行こうと誘っていた。
どんな手を使ったかは知らないけど、姉は承諾したらしい。オレの返答待ちだという。オレが断るはずもなく、もちろんOK。
そして今日。阿部くんと一緒に事務所を出て神宮球場近くの待ち合わせ場所へ。そこにはユニフォームを着て準備バッチリな姉が待っていた。
オレたちに気付くと、手をひょいと上げて小さくお手振り。
ちらっと阿部くんの方を見やれば、こちらもマスク越しでも分かるような笑顔を浮かべてお手振り。……阿部くん、その笑顔は反則っす。
姉と合流し、球場の敷地内へ。
「そうだ、ユニフォーム買いたいんだよね。」
「お！ちなみに誰のとか決めてます？」
「ふふ、それはお楽しみに。買ってくるからちょっと待ってて！」
グッズ売り場の前で阿部くんが足を止めたかと思えば、なんとユニフォームを買うとのこと。通行の邪魔にならないよう、通路の隅っこへ。
そして姉と阿部くんは誰のユニフォームを買ってくるのかクイズをし始める。
「やっぱり神宮だからヤクルトでしょ！」
「いやいや、球場じゃないって。単純に気になった選手！」
「じゃあ誰なの？」
「そりゃ俺が推しといた坂本！」
「えー、この前活躍してた選手でしょ。……やっぱり村上くん？」
「それは姉ちゃんが好きな選手じゃん。」
なんて盛り上がってたら、すでにユニフォームを着た阿部くんがニコニコしながらこちらにやって来た。はや。もう着たんだ。
ちなみにユニフォームはヤクルトのもの。俺の予想は早速外れてしまった。チームについては、姉クリア。
あとは番号が見えれば答えがわかるんだけど、うまいこと阿部くんが隠しているのでまだ判断できなかった。
「この前気になった捕手の中村選手！」
「ふたりともハズレましたー。」
「あ、予想してたの？ふふ。ざんねーん。」
そう来たか。なんとなくだけど阿部くんって名字からして捕手感あるし、もし野球やってたら頭使う捕手やってそうな感じはある。
「やったー阿部さんもヤクルトー。」
「一緒に応援しましょうね！」
……巨人坂本ユニのオレは疎外感すごいや。
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作者名：みどりの | 作成日時：2022年8月22日 21時
