誘ってみよう�［� ページ8
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夕方。今日の仕事はこれで終わり。事務所近くのカフェに寄ってから帰ろうかな。
スタッフさんにお疲れ様ですと声をかけ、帽子とマスク装着していつもの出口から外へ。春だからちょうどいい気温だ。
カランコロン
カフェに入り、レジに並ぶ。……期間限定のやつにしようかな、いや、いつものでいいかな。悩んだもののいつものを注文した。
出来上がった飲み物を受け取り、どこの席に座ろうかと店内を見渡す。あそこらへんが空いて……。
あれ？あの人は。
「那須さん？」
「はい？」
思わず声をかけてしまった。何を話そうとかそんなこと考えてなかったから、今必死になって次の言葉を探している。
顔をあげた那須さん。どことなく弟の那須雄登に似ていて、やっぱり姉弟なんだなと分かる顔立ち。
名前は確か……Aさんだったはず。
「阿部さん……？」
「そうです、阿部です。こんにちは。」
「こ、こんにちは……。」
やば、驚かれてるな。……あ、思いついた。
「ちょっとだけここに座ってもいいですか。」
「えっと、はい。」
ひとまず第一関門突破。さてここからが本題だ。前回のリベンジ。弟の雄登を使わないで、オレが直接誘ってみるんだ。
ふぅ、と一つ息を吐いて、よし。
「今度雄登くんも交えて野球観戦に一緒に行きたいなって。」
ちょっと頭を傾げてと。
それに続けてこの前のドームでのこと。村上選手が気になった、もう一回見てみたいのような内容をいい感じにまとめて話す。
……うん、手応えあるんじゃないかな。初めはえ？って顔してたけど、村上選手の名前出したときに顔色変わったもん。
興味を持ってもらうために村上選手の名前を使わせてもらったけれど、あんなに食いついてもらえるとは。
オレ単体ではだめなのかとちょっとショック。……ん？なんでショックなんだ？
「分かりました、ちょっと弟と話してみますね。」
「ほんとですか？やったぁー！」
いい返事がもらえた。よし、これ以上は邪魔しないでおこう。そう思ってお礼を言って席を立とうとしたとき。
「……阿部くん？」
「那須じゃん。」
相談したい相手、那須雄登くんの登場。なんでも、Aさんがここにいたのは那須との待ち合わせの為だったらしい。
よしこれ幸いとその場で野球観戦の日程について調整しちゃった。
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作者名：みどりの | 作成日時：2022年8月22日 21時
