名前違いの行方【緑】 (ページ5)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:40,360 hit

名前違いです①🍆 ページ5

.

今日は阿部くん、佐久間くん、浮所との野球観戦デー。

野球観戦の前に、阿部くんが俺の家族に挨拶したいってことで、東京ドーム近くのとあるカフェで待ち合わせ中だ。

この場にはまだ那須一家の計4名しかいないけど。

「クイズ部って誰が来るの？」

「そこは内緒。」

「なんでよー。」

実は両親と姉には誰が来るのか言っていない。ただ「クイズ部のメンバー」とだけお知らせ。ちょっと驚かせようと思って。

阿部くんはこの前ビデオ通話で話したときに知ってそうだったし、浮所は普通に会ったことあるし、佐久間くんはクイズ部じゃないけど某朝の番組で見てるんだよねって言ってたし。

ちなみにこの場で一番緊張してそうなのは父。母は仲良くして頂いてるようで何よりってのほほんとしていて、姉はというとただただ誰なのか気になってるだけで緊張感はない。

姉のキャーポイント、ジャニーズで当てはめるの難しいんだよな。野球独特のしぐさだから。そういう面では、会わせても大きな問題にならないだろうなと思っている。

「あ！」

阿部くんの声。こちらにお手振りしてくれた。すぐさまペコッとする。すでに佐久間くんと浮所も合流していたらしく、これで全員揃った。

姉はまだ誰だか気づいていないらしく、「え、誰？」ってぼそっとつぶやいている。帽子にマスクしてれば目元だけしか見えないから確かに分かりづらいか。

「こんにちはー阿部です。この前はどうも。」

「そして佐久間です、阿部ちゃんと同じグループです！」

「お久しぶりです、浮所です。」

「「「こんにちはー。」」」

何故かハモる両親と姉。思わずみんなで笑っちゃった。その後すぐに姉が失礼します、と言って俺を引っ張って密談。

「3人もいたの！？しかも私でも知ってる人ばっかなんだけど！」

「だからあえて言わなかったんだ、この反応みたくて。」

「……くっ、一杯食わされた！」

すぐに「終わりましたー」と言い正面に向き直る。

やっぱり姉は見ていて楽しい。酔ってるときは一段とだけど、平常時もなかなか。

ただ、浮所も面白いと思っているっぽくて。どういう意味かはわからないけど「お姉さんめっちゃ好き」って言ってくる。本人を前に言ったこともある。

姉が特に気にしていなかったからいいが、ややこしくなるから今日は言わないでくれ、心から祈った。