出会ってはいけない人�� ページ26
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「さくまぁー！」
「よしよし、よく頑張った！」
合同ライブのあと、Jrの子たちに軽く挨拶してすぐに佐久間に連絡を取って。
この抱えたもやもやを吐き出したかった。電話越しのオレの様子がだいぶおかしかったらしく、佐久間が家に呼んでくれた。
途中のコンビニで普段は買わないアルコール飲料とおつまみを買い込んで行けば、佐久間もまた酒宴の準備をしてくれていた。
「忘れようとしてたんだよ？でも那須見ちゃうと思い出すしぃ。」
「それは、うん、仕方ないよ。」
「なんとか那須見ても茄子って思ってさ、それで乗り切ろうとしてたの！」
変なこと言ってるのは分かってるんだけど、本当に茄子って意識に植え付けて植物なんだって、変な乗り切り方してる最中で。
普段は頭ポンポンされるなんてありえないんだけど、今日は座ってるから佐久間がやってくれて。本当優しい。
「でね、今日Jrのライブに行ってさ。」
「あー、今日は那須の……美 少年も出てるんだっけ。」
「うん、出てるの。それでね、見学席に行ったの。そしたらね……。」
「そしたら？」
「Aさんがいたのぉー！」
挨拶したとき、ペットボトルを渡してもらったときのAさんが浮かんでくる。
1ヶ月考えないようにして、姿形がおぼろげになっていたはずなのに、今じゃもうくっきりはっきりになってしまって。
「マジで？すんごいタイミングだわ……。」
「本当そうなんだよ！始まる前に挨拶しに行ったときにちょっと那須の顔が引き攣ってたの、このことなんだって席について分かった。」
そう言いながらアルコールを一口。そして同じく買ってきていただし巻き卵を一口。
那須もあえて教えなかったんだと思う。気付かないことを願っていたかもしれない。オレが行くと分かっていたらこの日に招待しないだろうし。
なにせ、オレの気持ちを知っている数少ない人だから。
あとは佐久間くらいだ。Aさんも気付いてるかもね。
「もうどうしたらいいんだよぅ！」
「あーよしよし！じゃあ今日はゲームでもして楽しいこと上書きしよ！」
「……うん、わかった。ありがと、佐久間。」
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作者名：みどりの | 作成日時：2022年8月22日 21時
