誘ってみよう��🍆 ページ12
.
試合も終盤に差し掛かり、現在ヤクルト優勢。ただいま姉は席を立っている。
デザート系の食べ物も買ってくると言っていたから、しばらくは戻らないだろう。
少し前、俺がお手洗いから戻ってきたら、阿部くんの手に見覚えのある応援グッズ。どうやら姉からもらったらしく。
その話を聞いていた姉が今日一緒に観戦してくれてありがとうのプレゼント！って、ほろ酔い感満載で言っていた。ちなみに姉の現在ビールは3杯目である。
さてこの姉がいない時間を利用し、阿部くんとお話タイム。
「那須、相談なんだけど。」
「なんでしょう？」
「今日ここに来たこと、ブログに書いてもらえる？オレも書くから。……お姉さんと一緒に来てたことも。」
「……なるほど。わかりました。」
「あと、できればお姉さんがとある選手のファンってことも。」
「了解です！」
いくら変装しているとは言え、見る人が見れば気付くだろう。そしていくら家族とはいえ女性と一緒にいては勘違いされる可能性も高い。
そこで弁明しているように思われても、言うだけ言っといたほうがまだいいと考えた。
今日は間に合わないけど明日の昼間に載せてもらえるよう、家帰ったら文章考えないとな。
そんなこと考えていたらいくつか袋を持った姉が帰還。どうやらベビーカステラを買ってきたらしい。
「はい！阿部さんの分！おみやげです。」
「傘まで頂いたのにそんな……。」
「いいんです、いつも弟がお世話になってるので！」
俺も合わせてお世話になってますとペコペコして、残りの攻防も全力で楽しんだ。
翌日。オレが夜のうちに掲載依頼を出していたブログがアップされた。阿部くんに言われた通り、
球場で阿部くんと野球観戦したこと。
とあるチーム、そして若き4番打者のファンである姉もいたこと。
それらをなんとかうまく落とし込んだ。
ちょうど同じ時刻に阿部くんもブログを上げていた。オレと野球観に行きたくて、オレと姉に無理言って同行させてもらって申し訳ないと書かれている。
……本当のところはちょっと違うけれど、これぐらいの方がいいだろう。
そして昨日の帰宅後のことを思い出す。
「そうだ、阿部さんから連絡先もらったんだよね。」
「おお？」
「また球場で見たいんだって。いい人だねー。」
しれっと連絡先交換していた。
……でもこの姉、プロ野球選手にお熱だし、あの阿部くんだし。目立つようなことはしないだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 231人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みどりの | 作成日時：2022年8月22日 21時
