君の声から始まった② (ページ10)

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気持ちの真実① ページ10

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「お疲れー。」

「あ、お疲れ様です。」

とある事務所での打ち合わせから帰宅したら、家には阿部ちゃんがいた。最近、阿部ちゃんが家にいても何の違和感も感じなくなってきている。

「あれ、フータは？」

「えーとね、近くのコンビニで翔太と落ち合ってくるって言ってたよ。」

ついにはここの住民がいないのに留守番任されてるし。それだけ阿部ちゃんのこと信用してるもんね、弟は。かく言う私もだけど。

「ただいまー。」

「お邪魔しまーす。」

と、弟と翔太くんの声。実は翔太くん(名前で呼んでほしいと言われたので)も阿部ちゃんほどではないけどよくこの家に来ている。

基本的には弟とゲームをしているんだけど、たまにクイズ勉強会に参加しては分からんを連発。ただ最近は成果が出たのか当たるようになっている。

弟からしてみると、阿部ちゃんがクイズ仲間で保護対象なら、翔太くんはゲーム仲間の友達って感じがする。

ちなみに阿部ちゃん、今日は明後日収録があるクイズ番組の勉強。ジャンル的に歴史メインらしいので私達姉弟に協力要請があった。

翔太くんはその勉強しているところを見たいらしい。そんなところ見て何が面白いのか分からないけど。

「わっ、なんだ？」

弟のスマホが鳴り、電話に出るために自室にこもる。その後、阿部ちゃんがトイレへと席を立つ。残されたのは私と翔太くん。私がおとなしく日本史の教科書を読んでいると。

「Aさん、1個お願いあるんだけど。」

「お願いとは？」

突然の翔太くんからのお願い。言われた瞬間は何の見当もつかず、頭の上にめっちゃはてなマークが出てきた。

……うわ、顔上げたのいいけど、クッソイケメンじゃん。変にドキドキするから顔上げるんじゃなかったわ。

「……なんで目逸らしたの。」

「あ、いや、……顔が良すぎて落ち着かないので。」

「そ、それはどうも。」

本題から逸れてるぞ。翔太くんの顔が良いのが悪いんだぞ。

「あのさ、カラオケに一緒に行きたい。」

「カラオケ？」

「歌ってるところ、もっと見たいなって。」

想像できなかったお願いだった。歌ってるところ見たいって、歌手でもない私の歌ってるところみたいか？

なによりSnow Manのメインボーカルである翔太くんにそんなこと言われるとは。嬉しいような恥ずかしいような複雑な気持ちになった。