君の声から始まった② (ページ8)

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メンバーの気付き①赤ページ8

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某レギュラー番組収録前の楽屋。

9人という大所帯のため、大きめの部屋が割り当てられているのだが、その割には特定の場所に固まり、空いているスペースのほうがとても広く見える。

そんな中、少し離れた席に座り、どこかをぼーっと眺めている人物が一人。

幼馴染、渡辺翔太だ。たまに一人の世界に入っているところを見るが、今日はその日のようだ。

なんとなく視線の先が気になって翔太の視線の先を追うと、そこにはマネージャーである黒見楓汰。

……なんで？翔太の表情を再び見ると、何か悩んでいるように見えた。

さてここは悩みの館の主であるこの宮舘涼太が一肌脱ぐべきかな。

「翔太？」

「……わっ！何だ涼太か。」

ワンテンポ遅れた反応。かなり思い詰めているのだろうか。でも仲が悪くて……と言うふうには見えないな。

「そんなに驚くとは思わなかった。楓汰のことで何か思い詰めてる？」

「フータ？……ああ、別にそういう訳じゃないんだけど。」

そういう訳ではない、ふむ。楓汰の先に見える何かだろうか。いま物理的に見えているものではないだろう。となれば。

「楓汰のお姉さん？」

「……ほんと、涼太って鋭いな。」

ふふっ。翔太の考えることなんてオレからしてみればすぐに見当がつくのよ。

翔太が「やべ、これみんなにバレてる？」なんて上目遣いで言うものだから本当にかわいくて、「どうだろうねぇ」と答えを濁してみる。

多分、みんな翔太が最近ちょっとおかしいのには気付いてる。

「マジで、Aさんの歌声が頭に残って離れないんだよ。」

「歌声か。たしかにあの歌はすごく衝撃的だった。」

「だろ？フータに顔も声も似てるから頭おかしくなりそうで。」

頭おかしくなるって相当だけど……。翔太、そんな状態だったんだ。

もうあの日から半月くらい経ってるのにこれって、これから大丈夫かな。