君の声から始まった② (ページ7)

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火花散る？⑥緑ページ7

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この日の勉強を終え、またねの挨拶をして家路につく。

今日はインターホンで呼び出そうとしたときにAちゃんがナイスタイミングでご帰宅。

そこから部屋に上がればまさかの翔太。翔太が来ていることを知らなかったのか、Aちゃんは少しびっくりしていたけど。

エレベーターを降り、エントランスを抜けて外に出る。……と。

「阿部ちゃん。」

「あれ、翔太。」

数分先に出たはずの翔太がマンションの柱にもたれかかって待っていた。オレに何か聞きたいことでもあるのかな？

少し聞こえてきたクロミちゃんとの会話や、数日前の秘密の会話からして、翔太は明らかにAちゃんのことが気になっている。隠せるタイプではないのはよく知ってる。

Aちゃんは気付いてないようだけど。

ある程度までの方向は同じなので、一緒に歩きながらオレから話を吹っかけてみることにした。

「翔太ってAちゃんのこと好きなの？」

「お前もかよ！……オレってそんな分かりやすいか？」

話を聞くと、クロミちゃんにも同じことを言われたらしい。昔から見てれば明らかに態度が違うからバレバレなんだよね。

はじめましての人には少しガードが硬い感じがあったのに、Aちゃんにははじめから態度が硬くなかった。

もしかしたら、本能的に歌のレッスンで度々一緒だったということを感じ取っていたのかもしれない。

「一緒にいる時間長いからね、分かるよ。」

「……お、おう。」

照れてる。かわいいなぁ。

「だからまだそんなに会ってないAちゃんは気付いてないと思うよ！」

「まあ、そうなるか……。」

ちょっとホッとしたような翔太。本人にバレバレなのは翔太としてはやりづらいだろうなー。

でもね、翔太だけじゃないよ、Aちゃんのことを好きなのは。

……口に出したら止まらなくなりそうだから言えないけど。頑張って心の中に仕舞い込んでる。でもその蓋が取れそうで怖いんだよね。

「Aさんの歌、本当残ってんだよ。」

「オレも。あんなに身体に染み込むなんてなかなかないからさ。」

「だよな。」

そこからぽつぽつと黒見姉弟の話をして、とある交差点で別れる。始めこそ対抗意識持ってたけど、最後には同士と話している感覚になった。

……さあ、これからどうなっていくかな。