君の声から始まった② (ページ30)

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【番外編】ケモミミつけて② ページ30

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弟が狼の耳付けてむちゅ恋踊ると聞いて、仕事の打ち合わせ後に少し懐かしいレッスンルームに行くと、一緒に踊ると言っていた佐久間さんがいて。

私にも当時の予備だという狼の耳を貸してくれて舞い上がっていると、歌ってほしいとのお願い。……貸してもらったんだからやるしかない！

「佐久間ー。見に来たよー。」

「お邪魔しまーす。」

「わーもう耳ついてるやん！」

どうやら観客が他にもいたらしい。阿部ちゃん、目黒さん、向井さん。

佐久間さんはみんなの分もあるよーと、ひとりひとりに狼の耳をつけていく。キスマイさんのときもかわいかったけど、やっぱケモミミって正義じゃない？

「てなわけで、むちゅ恋〜狼の耳と黒子ちゃんの歌声を添えて〜！」

佐久間さんの紹介文のあと、少しざわつく観客三名。私の方を見て、歌うの？って驚いて目を丸くしている。すみません、歌わせていただきます。

イントロが比較的短いので、私のタイミングで再生ボタンを押す。

♪〜

イントロ後のラップっぽいところは、ラップだからか弟が普通に歌ってくれた。

……てか、阿部ちゃんなんか撮ってるんだけど！画角的に私は入ってなさげだけど、二人が踊ってるところをニコニコしながら撮影している。

♪〜

サビになる。私は歌いながらも二人のダンスを見ていたけれど、あのときのライブを思い出してちょっとしんみりしちゃった。

そして、一番が終わったところで停止ボタン。おおーと観客三名から拍手。私ももちろん拍手。そして踊っていた二人も拍手。

「Aちゃんって声真似もできるの？めっちゃ藤ヶ谷くんっぽかったけど！」

「何人かは真似できますよ。」

ダンスより先に阿部ちゃんが私の声について言及。……弟の声真似しているうちに、一部の人だけど声を似せることができるようになったんだよね。

「やばぁ。クロミちゃんとさっくんのかわいらしい動きとは逆のガヤさんみたいなセクスィーな声！……ホンマよかった。」

拍手で褒めてくれて向井さん。

「声気になりすぎてオレ途中お姉さんだけ見てたもん。」

「めめ！オレも見て！」

照れるんですけど、目黒さん……！

弟がすぐ突っ込んでくれたおかげで変な感じにならなくて済んだけど。

こうしてむちゅ恋発表会は幕を閉じた。

このとき阿部ちゃんが撮っていた動画がすのちゅーぶに上がることになるとは思っていなかったけど——。