そして始まる�� ページ24
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ギュッ
元から熱かった顔、今度は顔より下、阿部ちゃんが触れているところまでもが温かくてこそばゆくて。あれは冗談じゃなくて本気だったってこと？……それなら。
「……大好き。」
「ひゃっ！」
またも耳元で囁かれる。
これは目黒さんのあのセリフだよね。こういうことに免疫がないので、身体がビクッと反応してしまう。
ついでにさっきは心の中で押しとどめていた悲鳴が口に出てしまった。
その声を聞いたせいか、いったん抱きしめていた腕を緩め、クイズ中の距離感に。
……少し残念に思ってしまったので、もう私は後戻りできない。
「ごめんね、くすぐったかった？」
「そう、ですね。あんなの初めてなので……。」
なぜか敬語になってしまう。すると阿部ちゃんは微笑んで。
「君の彼氏になりたい。……いいですか？」
「……わ、私でよければ。」
今度は深澤さんのあのセリフ。最後に阿部ちゃんオリジナルでかわいらしく頭をコテンとさせていたけれど、やはり破壊力は相当なもので。なんとか返事を絞り出した。
それが恥ずかしくて、思わず阿部ちゃんの胸に顔を埋めに行った。こっちのほうがよほど勇気いるのに、何故か飛び込みたくなって。
「おわっ！」
「好き、でしゅ。……噛んだ。」
「ふふふ。かわいい。ほんとうに。」
私だけ気持ち言わないのはフェアじゃないってことで言おうとした結果、噛んだ。
それが恥ずかしくて阿部ちゃんを抱きしめる手に力が入る。そしたら背中をなでなでされてかわいいまで言われてしまった。
そのままの体勢で「あの三部作からセリフ取って来てずるい」と言えば、「知っててくれたんだ、嬉しい。」とさらになでなで。
……なんかあやされてる子供みたいだな私。
いい加減離れよう、そう思って腕を離して顔を上げれば。
「じゃあ、最後にもう一個いい？」
阿部ちゃんからのお願い。最後ってことは今日はもうこれで終わりってことだろうか。
……そうだよね、こんなんで勉強なんてやってられるはずがない。私がコクっと頷くと。
「……帰さない。」
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作者名：みどりの | 作成日時：2022年8月14日 21時
