君の声から始まった② (ページ22)

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そして始まる⑦ ページ22

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今日は阿部ちゃん家で勉強会。

ついにこの日がやってきてしまった。話を持ちかけられた日は、なんとか断ろうと色々言ってみたんだけど、やはり私では阿部ちゃんに叶うはずもなく。

……だって撮られたりしたら怖い。

きっと素性を調べ上げられるでしょ？そしたらジャニーズさんどころか他の会社からもそんなやつには……！なんてなったら恐ろしい。

業界違うから他の会社はもしかしたら影響ないかもだけど、ジャニーズさんは多分私だけじゃなく弟のクビも辞さないかもしれない。

いくら気持ちがあっても私は社会人で今の生活を捨てることなんてできない。そうなるとどうしても及び腰になってしまう。

私の家であれば、Snow Manのマネージャーである弟の家でもあるから誤魔化せると思っていたから家に上げていたし。

そんな私は撮られたくないという意思を服装に反映した。弟から借りた、弟の私服。体型はほぼ一緒だからぴったり。そう、「黒見楓汰」として外に出たのだ。

阿部ちゃんの住むマンションのホールで部屋番号を入力し、インターホンを鳴らす。

私だと分かるように、先程までしていたサングラスを外してカメラに顔を見せる。するとすぐに自動ドアが開いた。

……ふう。エレベーターのボタンを押した後、何回も深呼吸する。こんなにドキドキしたお宅訪問は初めてかもしれない。

気持ちには嘘をつこうとしたけど無理だったから認めることにした、阿部ちゃんを好きという気持ち。

エレベーターに乗り込み、指定の階についたときには声ちゃんと出るかなって思うくらいに喉がカラカラな感じがして。そうだ、これはただの勉強会だよ！

阿部ちゃんの部屋の前に着く。ここでもう一度深呼吸をしてインターホンを押した。

「ようこそー。」

玄関に待ち構えていたのか、すぐにドアが開く。

そして満面の笑みで出迎えてくれたこの部屋の主･阿部ちゃん。私もドキドキする気持ちをなんとか抑えつけてお邪魔しますと部屋に入る。

部屋に入るとアイボリーの壁紙で統一されたお部屋。ところどこ差し色に緑が入っているあたり、あべちゃんの部屋だなって感じられる。

そして何より広くないか。

リビングは私の部屋のほうが大きい気もするけれど、それは私はふたり暮らしで在宅ワークしているからであって。一人で勝手に建物探訪してる気分だ。