君の声から始まった② (ページ3)

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火花散る？②青ページ3

side青

「……お二人を信じます、誰にも言わないでくださいよ？」

「もちろん。」「おう。」

「阿部ちゃんの言うとおり、たまに歌のレッスンに行ってました。フータの代わりに。」

マジかよ。じゃあ、俺があのとき惚れ込んだ歌声ってまさか。

「声をきかせて、歌ってたのはAちゃん？」

「そうです。」

えっと、待て。さっきの阿部ちゃん情報量が多い。

砕けた口調で話しているし、阿部ちゃんはAちゃんと呼んでいる。そして一番は、Jr時代の声をきかせてを歌っていたのはAさん。

この二人、どういうこと？話が全然入ってこなかった。

「会議前に呼び出してごめんね。」

「いえいえ。バレると思ってなかったのでびっくりしたけど。やっぱり鋭いね。それじゃ。」

気付けば二人の話は終わっていて、ただの傍聴人となっていた俺は、急いで立ち上がりAさんに会釈をする。部屋に残されたのはオレと阿部ちゃん。

……こういうときなんて切り出せばいいんだ？

「翔太も気付いてた？」

「気付いてたっていうか、歌声がフータそのものだったからそんなことあるのか？ってずっともやもやしてた。」

「そっかー。俺は声もだけど一番は左手の甲のほくろ。」

「ほくろ？」

「うん、クロミちゃんにはほくろが2つあるんだけど、Aちゃんにはないんだよね。」

そんなところ見てたの？人の左手とかまじまじと見た記憶はない。顔とかだったらこのへんにほくろあるなって思うけどさ。やっぱ目の付け所が違うわ。

声っていう記憶だけに頼るものじゃなく、身体的特徴で入れ替わってたんじゃないかって疑うとか、オレじゃできない。

……なんか悔しい。阿部ちゃんがオレのほうが詳しいんだぞって顔してるように見えてしまう。

「ということで、さっきの話は他言無用で。」

「了解。……あとさ、Aさんと仲いいみたいだけど何かあった？」

「あー、オレが知らない分野のこと教えてもらってるんだ。」

アイドルスマイルを浮かべてそう返された。あの阿部ちゃんが知らない分野？

とりあえずオレじゃどうにもならない内容なんだろう。いつの間にそんなことになっていたんだ。あーわっかんね。

その後オレたちも部屋から出て、それぞれの用があった場所へと向かう。

……阿部ちゃん、絶対Aさんのこと気に入ってるよな。