そして始まる�� ページ16
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本日は阿部ちゃんとのお勉強会。ウェブデザインのお勉強会のため、私の家に二人きり。
「ねえ、ここをさ、こうしたいんだけど。」
「あー、ちょっと待ってね……。……えー、ここかな。ここが違う。」
「これ直したらっと。……あ、いけた！ありがとー！」
私の仕事スペースにあるディスプレイのうち一つは私の端末に、もう一つは阿部ちゃんの端末に繋いで、一つのデスクでお互い作業をする。
二つのディスプレイが置けるくらいだからデスク自体は大きい。
それでもこうやって質問を受けるときは、ディスプレイの方に身体を近づけて画面を睨みつけるものだから、二人の距離が結構近くなるんだよね。
最初の頃はなんとも思わなかったんけど、ここ最近はそうは行かなくて。ふわっと漂う阿部ちゃんの匂いになぜだかドキッとしてしまう。
「そういえば、この前翔太と舘さんがクロミちゃん姉弟とカラオケに行ったって言ってたよ。」
「そうなんだよね。なんか舘さんをどうしても呼びたいって翔太くんが言ってたから。」
「ゆり組まじ正義だわー！」
翔太くんと舘さんのコンビ、通称ゆり組。阿部ちゃんが推しているということは弟から聞いていたけど、そのノリをこんな間近で見られるとは。本当に普通のファンって感じだ。
「その時すごく真剣な顔で、歌声が好きって翔太くんに言われたからこそばゆかった。」
「おー翔太そんなこと言ったんだー。オレも昔から好きだったよ、歌声。」
ニコッとして少し首を傾げた阿部ちゃん。……くっ！これはあざとい警察の出番ではないのか……！
(Snow Manさんと連絡先交換したあたりから、YouTubeとかいろいろ見るようになったんだよね。)
……ん？その仕草に囚われてたけど、よくよく思い出してみれば、「好き」って言ってなかった？
歌声って言ってはいたけど。それでも阿部ちゃんの口からその単語が出てきた。
それが理解できた瞬間、ほっぺたが熱くなってきたような。ヤバい。そういうのじゃないよ、私！
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作者名：みどりの | 作成日時：2022年8月14日 21時
