君の声から始まった② (ページ2)

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火花散る？①青ページ2

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フータの姉、Aさんの歌声を初めて聴いてから数日。

未だにあの声はどういうことなんだろうという考えが頭の片隅に居座り続けている。双子だとしても似すぎてて怖い、けど好きな声。

もう1回聴いてはっきりさせたいな、なんて思っていたら。

「……ん、あれは。」

とあるミーティングルームに入っていった人。その人はまさに今考えている人、Aさんだった。彼女はこっちには気付いていなかったが。

普通に事務所に来てるってフータが言っていたけど、もしかしたら今までも知らないうちに見かけていたのかもしれないな。

少し気になって、完全には締め切られていなかったそのミーティングルームにそっと近寄る。そして、扉の隙間から中の様子を伺うことに。

「あれ、阿部ちゃん……？」

はじめに目に入ったのはさきほどこの部屋に入っていったAさんではなく阿部亮平だった。

どういうこと？さっきAさんが入ったのは間違いないのに、なんで阿部ちゃんが見えるんだ？二人で会ってるのか？

「ねえ、1個聞いていい？」

「なに？」

阿部ちゃんから何か質問があるようだ。それにしてもだいぶ砕けた言葉遣い。いつの間に、仲良くなったんだろうか。

「勘違いだったら本当申し訳ないんだけど。」

「うん。」

「……クロミちゃんがJrだったとき、身代わりで歌のレッスンに来てたことある？」

は？なんだそれ。

「誰？」

「あっ……。どうも、たまたま聞こえてきて。」

口に出したつもりはなかったがどうやら出てしまったらしく、阿部ちゃんに言われてしまったから仕方なく自首した。

そのまま去ろうとしたけど、そのまま帰せないなぁと阿部ちゃんの黒い笑顔がチラ見えしたので、おとなしく部屋に入る。もちろん、鍵は締めて。

それから俺が向かいの席に座ると、阿部ちゃんが再び話し始めた。

「脅そうとかじゃなくて、単純にそうだったのか知りたいだけなんだ。誰にも……あ、翔太は知っちゃうけど、言わないから。」

「俺は疑ってるとかじゃないけど、フータと歌声似すぎてて、たしかに気になるなって……。」

阿部ちゃんのついでに自分も気になっていたことを明かす。すると、へー翔太も気になってたんだ、とチラッと見てきた阿部ちゃん。

なんかさっきから笑顔黒すぎない？オレに対してだけ。