君の声から始まった① (ページ33)

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トリガー⑦ ページ33

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玄関のドアを抑えつけ、弟をおんぶしてくれてる阿部ちゃんを中に入れる。……弟と関わりが深い人物とはいえ、自分の家にアイドルを上げるなんて。

これまでの勉強会だってジャニーズ事務所に私がお邪魔する形だったから、本当に今の状態が信じられない。

ひとまずリビングにおいてあるソファに弟をおろしてもらう。

……と、そこで弟が目を覚ました。今かよと思いながら、冷蔵庫に入れていたお茶をコップに注ぎ、阿部ちゃんに差し出した。

「ありがとう。」

くっ……なんて笑顔だ。最近ただでアイドルスマイル見まくっているから、そろそろ視聴料を払わなきゃいけないような気がしている。

「それにしてもリビング広いねー。」

「姉ちゃんのこだわりポイントだから。……あーほんとお茶うま。」

阿部ちゃんがリビングを見渡してそう呟けば、いつの間にか眠気が覚めたらしい弟が自分でお茶を注いでごくごくと飲んでいる。

弟の言う通り、リビングの広さにこだわったのは私。リビングの端っこに仕事スペースを作って、自室は仕事の要素を排除したかったからだ。

「これだとパーティーとかも余裕そう。」

「おお、いいねー！」

「パーティはちょっと……。」

「ごめん！やってほしいとかそういう意味つもりじゃなくて！」

弟の乗り気な声に思わず反論してしまった結果、言い出しっぺの阿部ちゃんがすぐさま謝ってくれた。

もちろん、ただ思っただけなのは明白なので私も謝って謝罪の応酬に。

「それなら勉強会は？こっちのほうがやりやすくない？」

「あー、大人数じゃないしそれなら全然いいよ。」

その流れを断ち切ったのは弟。その提案、考えてみれば今までそうしてこなかったのがもったいないと思うくらいだ。

正直、ジャニーズ事務所だとそわそわしちゃって、阿部ちゃんも落ち着かないなって言ってたし。家であれば最小限の人しかいないし、私はめっちゃ落ち着く。

……阿部ちゃんがそう思ってくれるかは分からないけど。チラ見してみると。

「え！いいの、お邪魔しても？」

「いいよ。」

「やったー！じゃあ今度からはお邪魔するねー。」

普通に喜んでくれた。クイズ番組で時折見せる当たったときの嬉しそうな顔。

思わずキャーって言ってしまいそうになるけど、近くにおいてあったお気に入りの某モンスターのぬいぐるみをモフって声をなんとか噛み殺した。