君の声から始まった① (ページ26)

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気になる人②緑ページ26

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YouTubeのクイズ企画のあと、クイズ部入ってほしいなーと思うものの、クイズ部の他の子にAちゃんを見られたくないし、そもそもジャニーズじゃないじゃんという結論に達した。……本人の前ではAちゃんなんて呼べないけどね。

「よし、これで行こう。」

クロミちゃんを丸め込んでゲットしたAちゃんの連絡先。メッセージ画面で入力した内容を再度確認し、送信ボタンを押した。

あべウェブデザインについて教えてもらえませんか?もちろんタダでとは言いません!

簡単にまとめるとそんなお願い。そういう分野の知識はそこまでなかったから純粋に知りたいなって思って。……ほんのちょっと、別の意味もあるんだけどね。

少し待てば返事が来た。

Aいいですよ!一回につきケーキ2切れでどうですか?

やったっ！そして現物支給なんだ。ケーキ2切れってなんてかわいいんだろう。そういえば、みんなで食事に行ったあの日も、本当はケーキを買って帰るつもりだったって言ってたな。

あのお店で出してるスフレチーズケーキを本当に美味しそうな顔で食べていたので印象に残っている。照から、ケーキのお店も教えてもらってたし。

速攻で感謝の言葉と、大丈夫そうな日程を書き込んでお伺いを立てる。

……久しぶりだ。こんなに心が浮き立っているのは。

クイズ企画でAちゃんが阿部の紙を引き当てたとき。途中から隣の席に座ったとき。声はクロミちゃんまんまなのに、かすかに漂うクロミちゃんとは違う香水の匂い。ハイタッチしたときの柔らかい手。

クイズが得意って聞いて、それならどうですか、という軽い気持ちだった。クロミちゃんが言うくらいだからどれくらいなんだろうって。

それがあの収録日、最初抱いていた興味から別の興味に変わってしまった。でもそれを悟られちゃいけない。そして自分にも言い聞かせないといけない。

彼女は俺が知らない分野のことを教えてくれる先生で、クロミちゃんのお姉さん、ただそれだけの人だ。