君の声から始まった① (ページ30)

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トリガー④ ページ30

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「声をきかせて」の1番が終わり拍手を受けたところで、ペコペコしながら寝落ちしている弟のもとへ。

本来はさっさとこの秘密兵器で起こす予定だったんだけどね。でもちょっと歌えたことでスッキリした気分になっている。

秘密兵器であるとある香水をティッシュに吹きかけ、そのティッシュを弟の鼻の近くに持っていく。

「それは香水？」

「うん、香水。この匂いで起きれるんで、弟は。」

弟の隣に座って様子を見ていてくれたらしい阿部ちゃん。見たとおり本当に優しい人。そして勉強熱心。

忙しいだろうに今まで関わってこなかったであろうウェブデザインについて学んでいるし、そのついでに一緒に地理や歴史系のクイズについても勉強している。

たまに弟も交えたその勉強会を何度もやっていくうちに、敬語はいらないよって言われて、呼び方も弟と同じでいいってことで阿部ちゃん呼びになっている。

「……すきぃ。この匂い……。」

「うわ、本当に起きた。」

「またすぐ寝るかもしれないんで、もう帰ります！失礼します！」

阿部ちゃんが驚いているのを尻目に、私は大急ぎで弟の腕を引っ張り、Snow Manのみなさんに挨拶してカラオケ店の外に呼んでいたタクシーへと向かう。

部屋を出るときは突然出ていくものだから皆驚いてあわあわしていたな。またいつ寝てしまうかわからない弟がいるので急がなければ。

……ふう、なんとかタクシーまでは歩いてくれた。