君の声から始まった① (ページ28)

今日:9 hit、昨日:5 hit、合計:96,644 hit

トリガー② ページ28

.

「えーと、ここか。」

とあるカラオケ店の前。深澤さんからの電話は、弟が寝落ちして全然起きないから迎えに来てほしいというもの。寝落ちするには早い時間だが、一度寝てしまったらなかなか起きないのは確かで。

カラオケ店に入ると、待合スペースに電話の主である深澤さんと岩本さんが待っていてくれた。

「ごめんなさい、呼び出したりして。」

「大丈夫ですよ、フータは一回寝たらなかなか起きないので。」

ふたりからペコペコされて逆に私が申し訳なくなる。ふたりの案内でパーティルームのような明らかに大きそうな部屋へと到着した。

扉を開けると音がガンガンにかかっている。その中ですやすやと眠っている弟を発見。……この環境でよく寝れるな。

「わーいお姉さん！……ねえ、1曲だけ歌ってかない？」

無邪気に話しかけてきた佐久間さんが突然のイケボを浴びせてきた。声優やってるからか声色の変わり方がやばい。

……歌うのか。歌うのは大好きだけど、こんなプロのアーティストの前では。

「好きな歌の1番まででいいんで！」

「なんでもいいんですよね。」

「もちのろん！洋楽でも演歌でもアニソンでもどんとこい！ね、みんないいよね？」

「おっけー！」「いえす！」「ききたーい！」

そう言われて、1番までならいいか、と吹っ切れた私はデンモクで曲名検索をする。……こんな状況で歌うものじゃないけど、比較的うまく歌える自信がある、あれで行こう。

「声をきかせて／BIG BANG」

カラオケの画面にそう表示される。何人かおおっ！と反応してくれた。優しさの塊だなこのグループは。どうぞ、と笑顔の阿部ちゃんからマイクを受け取り、再びの深呼吸。

♪〜

♪〜

♪〜

終わった、テーブルに置いていたデンモクの演奏終了をタップする。ふうと一息つくと、四方から拍手が聞こえてきた。……そうだ、Snow Man全員に聞かれてたんだった。顔を見てみれば、なぜかポカンとしてる人多数。やらかしたか……？

「え、うますぎん？」

最初に口を開いたのは向井さん。すると口々にだよねとか同意する声が。まさか褒められると思ってなくて、今更ながら恥ずかしくなった。