【刀剣乱舞】私、審神者になります！ (ページ10)

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九話：岩融と本丸生活ページ10

まだ日が昇らない薄暗い朝のこと。
　部屋ですやすや寝ていると、遠くからものすごい勢いで走ってくる足音で目が覚めた。

岩融「主！今日は俺が近侍だぞ！アッハッハッ！む？まだ寝ておるのか？」

貴「おはよぉ。岩融のおかげで目が覚めたよ…。」

　私は岩融に障子を閉めてもらい身支度を整えた。

貴「おまたせ。じゃあ今日はよろしくね」

　岩融はうむ！と大きく頷き、私と並んで稽古場へと向かった。

岩融「主は相変わらず小さいな。ちゃんと食べておるのか？」

貴「岩融がでかいだけでしょ？私は平均ですよーだ」

　毎回そう言ってくる岩融に半ば呆れていた。
　そういえば、岩融は無意識だろうが私の歩く歩幅に合わせてくれている気がする。ちょっと嬉しいんだよね…そういうの。

岩融「着いたぞ稽古場」

　私たちが中に入ると既に刀剣男士たち何人かが稽古していた。

乱「ん？あるじさーん！岩融さーん！」

　私たちにいち早く気づいた乱藤四郎が声をかけて手を振ってくれた。あの可愛らしい子が男の子なんて…。

今剣「今日は岩融が近侍なのですねっ。あるじさまに失礼なこと言ってないでしょうね？」

岩融「う、うむ！何も心配することないぞ今剣」

　明らかにバレバレの表情で今剣に答える。
　今剣もやれやれと肩を下ろしている様子だ。

貴「そうだ。今剣、もうすぐ遠征部隊が帰ってくるから短刀たちと一緒に遠征よろしくね。岩融、今度は馬小屋行こう」

今剣・岩融「はーい」「わかった」

　私たちは稽古場を後にし馬小屋へ向かった。
　馬小屋ではなぜか刀剣男士には懐いて私にはこれっぽっちも懐かない。

岩融「主？なぜそんなに馬から離れる？」

貴「私が行くと暴れるの…。だから今日の馬当番の三日月さんと小狐丸の様子を代わりに見てきて」

　私は馬小屋からは死角になるところに隠れて岩融に行ってもらった。

　はぁ、どうもまだ慣れない…。
　私は一人になるとまた嫌なことばかり考えてしまう。明日もし力がなくなったら…。

岩融「主？伝えに行ってきたぞ？あーるーじー？」

貴「へ？あっ、うん、ありがと。じゃあ次は鍛刀部屋だね」

　岩融は何も言わず私の頭に手を置いて静かに元気づけてくれた。

貴「よし！今日の任務分鍛刀しよう」

　鍛刀しようとした時、私が最も恐れていたことが起こった。

貴「うそ、でしょ…。何で？」

岩融「あ、主？どうかしたのか？」

　私の霊力が消えかかっていることに思い知らせるのはもう少し後の話。