山奥にて 三 ページ4
それからまぁ苦労はしたものの、落ち着いた様だ。
「…と言うかなんでこんな夜更けに、女の子が
一人で、山の中に…?」
そう言えばそうだった。
こんな時間帯を歩いてる女って怪しすぎるにも
程があるだろ!
「あぁ…その、ちょっと、事情があって」
と濁したものの、相手は怪訝そうな表情だ。
どうする、流石に馬鹿正直に異世界から来たなんて
言える訳ないし…。
いや、濁しきったら何とかなるか!?
「あまり…人には言えないんだ、ごめんな」
「い、いやいやっ!?此方こそ聞いてごめんね!?
あ、えと名前言ってなかった!お、俺我妻善逸!」
「俺は焔雷だ、よろしく」
と、手を出すと我妻は何故かまた飛び跳ね奇声を上げる。
「キヤァァァァァ!?おっおれなんかと手を
繋いじゃっていいの!?ねぇ!?」
「え?ただの握手なんだけど…あ、嫌か?」
「嫌じゃないですよろしくお願いしますヒャッハァァァッッ!!」
て、テンション高ぇ…耐えてくれよ俺の耳…。
「…あっ、って、だ、だめだめだめ!」
「え?何が?」
「此処っ!この山鬼が出るの!!!」
「そうなのか?」
「イヤイヤイヤ何で落ち着いてるのっ!?!?」
「いや…俺はその…この山で暮らさないといけないから…」
「はぁ!?!?危ないよ!鬼が出るんだよ!?
今すぐ下りた方が、っ!」
「…どうした?っうわ!」
突然我妻が俺の手を引っ張り、走り出した。
「おいっ、どうしたんだよ!」
「鬼鬼鬼ッッ!鬼が来てるゥゥゥゥッッ!!」
振り返ってみると、「待てぇぇぇぇ!!」と
野太い声を上げながら包丁を持ち追いかけてくる男が。
確かに角が生えてる、あれが鬼か…。
…いや待て、確か俺には”力”がある筈…。
ん?でも発動させるのってどうすりゃいいんだ!?
追いつかれたら死ぬじゃねぇか!?
いや俺は死なないけど、我妻が危ねぇ!
………な、なんかこう、出ろ!なんか!!
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作者名:徒花(腐女子) | 作成日時:2023年4月8日 23時