埋葬 -JN-

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以外にもあっさりと彼女は私を解放した。
というより、彼女もどこかで気付いたのだろう、なぜ自分は親しくもない私に身の内を明かしているのか と。

｢Aさんすみません 付き合ってもらってしまって｣

とんでもない。と片手を上げると 彼女は今までとは打って変わって他人行儀の笑顔を浮かべながら
ここは私が。と勘定をした。
生ビールも砂肝も、元々摂ろうと思っていたものよりも高価で、更に身銭を切らずに済んでラッキーではあるのだが、映画に比べると幾分か劣る体験を少しだけ悔やみつつ 居酒屋の前ですんなりと別れた。
結局彼女の名前をはっきりと思い出すことの出来なかった自分も、この先彼女と飲みに行くことはない現実にほっとしている自分も 本当に薄情だと想った。


帰り道はむしむしとした熱帯夜だった。
何故キムソクジンはあんなにも愛されるのだろう。
きっと私が今日話した彼女と同じくらい彼を愛している人間もまだまだいるのだろうから不思議だ。

そう考えながらも、
Aさんは浮ついたりしないんですか？という質問を 味のないガムのように何度も口の奥で噛みしだいた。

だってそんなの。

続きそうになる言葉を飲み込む。

あんな不憫な自分を見たくないじゃないか。

上手く飲み込めたはずだったがそうはいかなかった。
見た目が良いだけだ。
中身なんて知れたもんじゃない。知らない方がいい事があるってことくらいわかってる。

｢はぁ｣

アルコール臭いため息をついて
きっと飲み足りないのだな、と自分を納得させて足はコンビニに向かう。
それから帰ったら とびきり面白い映画を見よう。

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