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運良く彼女の自宅も案外近い事を知り、上手く最寄り駅で降りることが出来た。
この行き当たりばったりの不思議な飲み会が終われば徒歩で帰れる。とりあえずラッキーと思うことして、駅前の適当な居酒屋に入った。
生ビールと砂肝。
これぞ、というチョイスをして レモンサワーを流し込む彼女の喉仏が上手に上下するのをまじまじと見守った。
｢手に入らないものって、知ったら余計に欲しくなるじゃないですか｣
わかる気がする。
人間は限定品や非売品に弱い。それは私だって例外じゃない。
彼女と同じように生ビールを嚥下して うんうんと頷いてみせる。
｢他の誰かより少しでも私に価値があればもしかしてって思っちゃったんです｣
だから、彼からの誘いは断らないし頼み事も全部YESでしか答えなかったんです。
そう言いながらまた瞳をうるうると濡らし始めた彼女を見ながら
キムソクジンの頼み事が一体何なのかを考えてしまった。
およそ想像するに容易い気がした。
キムソクジンの行為はきっと自分本位なのだろう。
やだやだ、と変な事を考えてしまった自分に呆れながら彼女の話に耳を傾け直す。
｢でも‥‥きっとそうしていたのは私だけじゃないんですよね｣
恐らくそうだろう。
入社して数週間。夏はまだ猛威を奮っているが、それよりも遥かにキムソクジンの行動力の方が驚異的だと関心すらする。
｢Aさんはソクジンさんとずっと一緒に仕事してて、なんていうか‥‥浮ついたりしないんですか？｣
言葉を選ぶように問う真っ直ぐな瞳に少したじろぎ、
｢う、ん｣
と曖昧に返事をしたが、彼女はそれでも満足だったようだ。
まぁ私だって、あの見た目に心が1ミリも動かないという事ではない。
でもとにかく怪我を負いたくないのだ。傷付くくらいなら求めない。それが苦節26年で培った私のちっぽけな信念なのだ。
残りのレモンサワーを喉の奥に押し込む彼女を見ながら、喫茶店でチラリと見えたような気がしたぎらつく瞳を思い出していた。
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K(プロフ) - sunnyさん» コメントありがとうございます！ジンくん目線！凄くいいですね。整理が着いたら書いてみたいと思います！本当に嬉しいお言葉ありがとうございます。 (2021年10月15日 20時) (
レス) id: 2712528a63 (このIDを非表示/違反報告)
sunny(プロフ) - すごいどストライクの作品で大好きです💜！この作品のジンくん目線？の内容もすごい気になります！これからも大変かと思いますがお話頑張ってください！！ (2021年10月15日 18時) (レス) @page37 id: 5ee4f4580f (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - びぃんさん» コメントありがとうございます！嬉しいお言葉を本当にありがとうございます。こんな最低の男にしてしまって申し訳ないですが気に入っていただけて良かったです！ (2021年10月11日 18時) (レス) id: d7c2a5623f (このIDを非表示/違反報告)
びぃん(プロフ) - いやめちゃくちゃ好きです何だこれは……すっごい昂りましたありがとうございます神様仏様K様…… (2021年10月11日 18時) (レス) @page37 id: 57661bab90 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ほまさん» コメントありがとうございます！激アツ、凄く嬉しいです！風景を思い描いていただけて良かったです。これからも少しずつですが書き進めていこうと思いますのでまたご覧頂ければ幸いです。 (2021年10月11日 0時) (レス) id: d7c2a5623f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2021年10月2日 19時
