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｢あ、｣
私が返答するより早く彼女は続けていく。
｢でも、手に入らないんです‥‥｣
｢こんなにも辛いのに‥‥｣
純度の高い、透明な涙を流し続けながら嗚咽混じりに気持ちを吐露していく。
不憫だ‥‥。そう思いながら彼女の肩に手を置く。
｢彼は‥‥何て？｣
そう聞くと
｢何も言ってくれないんです
決まっていつも、気が向いた夜だけ連絡が来ます｣
ああ‥‥。尾ひれがついた噂だと思っていたあの話に、妙に信憑性があったのは 真実だったからなのか。
完全に他人事で、私はどこまでいっても蚊帳の外であるはずなのに、何故か少しだけ胸の奥がちりっと焦げたような音がした。
いやいや。有り得ない。
｢そう‥‥｣
心の中で首を振り、目の前で涙をながす彼女に神経を集中させた。
｢土曜日、お昼から出掛けないかって誘ったんです｣
日中、喫茶店で週末の予定を まぁ。 と答えたキムソクジンの顔を思い出した。
何がまぁ。だったのだろう。彼女は、あの飄々とした まぁ。にすら含めてもらえなかったのだろうか。
｢何で？って聞かれたんです｣
｢うん｣
｢何で君と出掛けなきゃいけないの？って｣
それはひどい。本心から出た言葉だった。
その場にいなかったはずなのに、その剣山のような言葉を簡単に発するキムソクジンの態度が鮮明に浮かんだ。
｢私‥‥知ってました
ソクジンさんが他の子ともこういう関係を持ってること｣
そう言いながら彼女は少しだけ警戒するような目線を私に向けた。
｢私は全く｣
誤解を招くのが嫌で、大袈裟に両手を振りながら否定した。そもそも彼女だけじゃない。私がキムソクジンの教育係になってからというもの、同じような視線を感じることが多かった。
あからさまに安堵のため息を着く彼女の顔には、どんな手を使ってでもキムソクジンを手に入れたい、そう書いてあった。
キムソクジンはやめておきなさい、と言ってしまえば 私とキムソクジンの間に何があったのだとありもしない事を詮索されそうだったので口を噤んだ。
でも私は、彼女の
欲しい欲しいと心が鳴く声をひしひしと感じながら
もう一駅で最寄り駅なのに、帰ることが出来そうにないことに落胆した。
｢少し、飲みに行こうか｣
お人好しもいいところだ。
しかし 缶ビールが生ビールに、つまみがグレードアップして、悲しい結末の映画を体感するとすれば
まぁ。という所だと自嘲した。
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K(プロフ) - sunnyさん» コメントありがとうございます！ジンくん目線！凄くいいですね。整理が着いたら書いてみたいと思います！本当に嬉しいお言葉ありがとうございます。 (2021年10月15日 20時) (
レス) id: 2712528a63 (このIDを非表示/違反報告)
sunny(プロフ) - すごいどストライクの作品で大好きです💜！この作品のジンくん目線？の内容もすごい気になります！これからも大変かと思いますがお話頑張ってください！！ (2021年10月15日 18時) (レス) @page37 id: 5ee4f4580f (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - びぃんさん» コメントありがとうございます！嬉しいお言葉を本当にありがとうございます。こんな最低の男にしてしまって申し訳ないですが気に入っていただけて良かったです！ (2021年10月11日 18時) (レス) id: d7c2a5623f (このIDを非表示/違反報告)
びぃん(プロフ) - いやめちゃくちゃ好きです何だこれは……すっごい昂りましたありがとうございます神様仏様K様…… (2021年10月11日 18時) (レス) @page37 id: 57661bab90 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ほまさん» コメントありがとうございます！激アツ、凄く嬉しいです！風景を思い描いていただけて良かったです。これからも少しずつですが書き進めていこうと思いますのでまたご覧頂ければ幸いです。 (2021年10月11日 0時) (レス) id: d7c2a5623f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2021年10月2日 19時
