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帰社してからは瞬く間に時間は過ぎた。結局あの後、お昼ご飯も食べまてしまおうというキムソクジンの提案をゆるゆる承諾し、コーヒー2杯のお礼に私がご馳走様することで借りを返した。
チーズが山ほど入ったフォカッチャを口いっぱいに頬張る彼を見ていると、なんだか餌付けをしているような気分になった。
まだ外が明るい時間に帰路に着くのはやはり気分が良かった。徒歩10分圏内の駅まで歩くだけでも汗ばむ気温を肌に感じながら、結局使わなかった自身のハンカチで額を拭う。
帰りにコンビニに寄ってお目当ての缶ビールとつまみを買って帰ろう。あとは家にあるもので適当に済ませられるだろう。そう考えながら駅に着くと、まだ人はまばらだった。
最寄り駅まで3駅。
早く帰れる特権のふかふかのシートに腰を下ろし、尚も吹き出る汗をせっせと拭いながら、今日はなんの映画を見ようかと思いを巡らせていると、
ドアが閉まるほんの少し前に乗り込んできた女性に見覚えがあった。
｢あ｣
つい口を開いてしまって後悔した。
彼女は同じ会社の経理の女性だった。私より2つほど年下だったような気がする。たった2つしか違わないはずなのに、彼女はとても若々しく見える。
のだが、声を上げた私を見やるその瞳は涙で濡れていた。
しまった。面倒な事になりそうだ。
そう一瞬感じたが、時すでに遅し。彼女はゆっくりと私の前までやってきて、静かに隣に腰かけた。
｢Aさん‥‥｣
名前すらうろ覚えでいたたまれない。
とにかく、ここは眉尻を下げて心配そうな顔を作ることにした。
｢どうしたの？｣
汗を含んだハンカチを差し伸べる事も出来ず、ただ在り来りな言葉をかけると、彼女は溢れ出す涙を拭うこともせずぽろぽろと滴らせながら嗚咽を漏らした。
｢‥‥私‥‥｣
きっと彼女もまた私をよく知らない。
けれど、今の彼女にはそんなことどうでも良さそうだった。誰かに吐き出さなければやっていられない、そんな風に見えた。
｢ソクジンさんが好きなんです｣
突拍子もない告白を聞き、内心ぎょっとする。
ああ、やはりとんでもなく面倒な事になった。
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K(プロフ) - sunnyさん» コメントありがとうございます！ジンくん目線！凄くいいですね。整理が着いたら書いてみたいと思います！本当に嬉しいお言葉ありがとうございます。 (2021年10月15日 20時) (
レス) id: 2712528a63 (このIDを非表示/違反報告)
sunny(プロフ) - すごいどストライクの作品で大好きです💜！この作品のジンくん目線？の内容もすごい気になります！これからも大変かと思いますがお話頑張ってください！！ (2021年10月15日 18時) (レス) @page37 id: 5ee4f4580f (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - びぃんさん» コメントありがとうございます！嬉しいお言葉を本当にありがとうございます。こんな最低の男にしてしまって申し訳ないですが気に入っていただけて良かったです！ (2021年10月11日 18時) (レス) id: d7c2a5623f (このIDを非表示/違反報告)
びぃん(プロフ) - いやめちゃくちゃ好きです何だこれは……すっごい昂りましたありがとうございます神様仏様K様…… (2021年10月11日 18時) (レス) @page37 id: 57661bab90 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ほまさん» コメントありがとうございます！激アツ、凄く嬉しいです！風景を思い描いていただけて良かったです。これからも少しずつですが書き進めていこうと思いますのでまたご覧頂ければ幸いです。 (2021年10月11日 0時) (レス) id: d7c2a5623f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2021年10月2日 19時
