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行為自体に意味は無いのかもしれない。
ただ私はキムソクジンの広い背中に、直に触れる事が出来る唯一の方法として これに甘えているのだろう。
目の前に広がる見知った天井はどこまでも高い。
キムソクジンはどこか上の空で 誰に対して発しているのか分からない偽りの愛の言葉を投げかけてくる。
それは全て ただこの盛り上がりに欠ける事情への調味料のようなものだ、そう呑み込む私は聞き分けのいい女だろう。
｢煙草、私にもちょうだい｣
その代わりベランダじゃなく換気扇の下で吸っていいから。
そう言うと彼は怪訝な顔で手を掛けかけたベランダの戸から手を離し、煙草を1本差し出す。
｢吸えるの？｣
｢さぁ｣
もちろん吸ったことは無かった。
でも、ベランダのガラス戸越しに見る彼を なんだか今日は見たくなかった。
換気扇を付け、捨てても問題のない入れ物を置き 煙草に火をつけるキムソクジンの横顔をじっくりと見た。
じりっという音と共に点火されるそれは 即座に先端からじわじわと死んでいく。
私みたいだ。そう思いながら見様見真似で自分の煙草に火をつけた。
けほっと咳き込むと
こちらを向いてキムソクジンは目を細くして笑った。
｢ほら、無理するから｣
｢いいの、ほっといて｣
｢可愛くないね｣
｢お互い様｣
その後は黙ったまま、暫くキムソクジンが上手に吸う煙草のじりじりという音と 私の咳だけが響いた。
｢最近彼女とはどうなの｣
興味はなかった。でも、何となく会話の切り口に適切なような気がしてそう聞くと
｢普通だよ｣
と同じく興味の無さそうな声で返答される。
｢結婚しないの？｣
恋人なら至極当然に出るはずの話題だ。
キムソクジンはもう短くなってしまった煙草を 灰皿ではない入れ物に躊躇いもなく押し当て
｢んーまだ遊んでたいかな｣
と、最低最悪の答えを出す。
しかし私にそれを咎める権利はない。現に彼の言う 遊び に自身が含まれているのだ。
｢そ｣
ほとんど吸うことの出来なかった煙草を同じように入れ物に押し付けて消して
煩い換気扇を消せば 驚くほど静まり返った室内にたじろぐ。
｢そろそろ行くね｣
こちらを見ずに荷物のある場所に歩き出したキムソクジンを止めることはしない。
｢気を付けてね｣
玄関から彼を見送れば 次はいつ会えるか分からない。
でもこれだけが私が手に出来たキムソクジンの一部だ。
｢ねぇ｣
もう振り向かず出ていくと思っていたキムソクジンがくるりとこちらを向く。
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K(プロフ) - sunnyさん» コメントありがとうございます！ジンくん目線！凄くいいですね。整理が着いたら書いてみたいと思います！本当に嬉しいお言葉ありがとうございます。 (2021年10月15日 20時) (
レス) id: 2712528a63 (このIDを非表示/違反報告)
sunny(プロフ) - すごいどストライクの作品で大好きです💜！この作品のジンくん目線？の内容もすごい気になります！これからも大変かと思いますがお話頑張ってください！！ (2021年10月15日 18時) (レス) @page37 id: 5ee4f4580f (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - びぃんさん» コメントありがとうございます！嬉しいお言葉を本当にありがとうございます。こんな最低の男にしてしまって申し訳ないですが気に入っていただけて良かったです！ (2021年10月11日 18時) (レス) id: d7c2a5623f (このIDを非表示/違反報告)
びぃん(プロフ) - いやめちゃくちゃ好きです何だこれは……すっごい昂りましたありがとうございます神様仏様K様…… (2021年10月11日 18時) (レス) @page37 id: 57661bab90 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ほまさん» コメントありがとうございます！激アツ、凄く嬉しいです！風景を思い描いていただけて良かったです。これからも少しずつですが書き進めていこうと思いますのでまたご覧頂ければ幸いです。 (2021年10月11日 0時) (レス) id: d7c2a5623f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2021年10月2日 19時
