21 ページ21
-----
悪い女、中の中の私がなりきれるかどうかはさておき、既にデスクに向かってキーボードを叩くキムソクジンの恋人の存在を知っていながら拒むことをしなかった時点で いつか地獄に落ちることは決定している。
しかし、もしかしたらどうにかなれたのではないかと淡い期待をもっていた同期の存在が 同類がいるという安心感になった。
そして言いようのない優越感は更に増す。
帰りの道すがら、携帯を確認すると新着のメッセージが残されていた。
元気？
キムソクジンのアイコンに、一言だけのメッセージ。
それだけで充分だ。
元気。どうしたの？
軽い仕草で画面をタップして返信をする。
直ぐに既読マークがつかない為、携帯をポケットに突っ込み 歩みを進める。
足が軽い。単純な自分が可愛らしいとさえ思った。
家に着き、鞄を置く。
メイクは落とさない。期待に膨らんでいく胸を宥めて 少しだけアルコールを入れておこうと冷蔵庫を開けた。
ストックされている発泡酒を開けながら携帯を見ると 案の定メッセージが来ていた。
もう家？
まどろっこしい男だ。
もう家だよ。
缶から少しだけ水分を摂り、テレビのリモコンに手を掛けようとした瞬間 ちかりと点滅する携帯に口の端が上がる。
そうなんだ。予定あるの？
特に無いけど
立て続けに送り合うメッセージ。
職場の給湯室に捨てたコンタクトレンズを思い出し、新しいコンタクトレンズを着けた。
今日はなるべく、しっかりとした視界を保ちたかった。
ふーん
本当に煮え切らない。
私は悪い女になると決めたのだ。少しは強気に出てやろうと
で？どこに行きたいの？
聞き覚えのある文言を打ち、それを送信すると
飲み直す？
だなんて冗談を返してくる。
直すも何も、今日は一緒に飲んでないでしょ
お互いを探るようなメッセージのやりとりでさえ純粋に楽しいと思えた。
じゃあ今から行くから。
とうとうキムソクジンがじゃれ合いに終止符を打つ。後は 待つだけだ。
これは私にとっても、キムソクジンにとっても遊びでしかない。
だったら遊び尽くせばいいのだ。
賞味期限がくるまで。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 341人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
K(プロフ) - sunnyさん» コメントありがとうございます！ジンくん目線！凄くいいですね。整理が着いたら書いてみたいと思います！本当に嬉しいお言葉ありがとうございます。 (2021年10月15日 20時) (
レス) id: 2712528a63 (このIDを非表示/違反報告)
sunny(プロフ) - すごいどストライクの作品で大好きです💜！この作品のジンくん目線？の内容もすごい気になります！これからも大変かと思いますがお話頑張ってください！！ (2021年10月15日 18時) (レス) @page37 id: 5ee4f4580f (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - びぃんさん» コメントありがとうございます！嬉しいお言葉を本当にありがとうございます。こんな最低の男にしてしまって申し訳ないですが気に入っていただけて良かったです！ (2021年10月11日 18時) (レス) id: d7c2a5623f (このIDを非表示/違反報告)
びぃん(プロフ) - いやめちゃくちゃ好きです何だこれは……すっごい昂りましたありがとうございます神様仏様K様…… (2021年10月11日 18時) (レス) @page37 id: 57661bab90 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ほまさん» コメントありがとうございます！激アツ、凄く嬉しいです！風景を思い描いていただけて良かったです。これからも少しずつですが書き進めていこうと思いますのでまたご覧頂ければ幸いです。 (2021年10月11日 0時) (レス) id: d7c2a5623f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：K | 作成日時：2021年10月2日 19時
