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そんなこと知ってか知らずか
キムソクジンと私の関係は続く。
どんな時でも誘いを断らない変わりに、私は絶対に胸の内を明かさなかった。
終わりになるのが怖かった。
しかし彼は、あの日以来私の自宅に泊まることは無かった。
始まってもいないことを終わらせたくないなんておかしな話だ。
｢気を付けてね｣
何度この言葉を発しただろう。
キムソクジンは相も変わらずまたね、とドアを閉めるのだ。
そう思ってその日もぼんやりと見送ろうとした時
彼はこちらをくるりと振り返り、鞄を漁りながら
｢あ、そうだ
そういえば渡したい物があったんだ｣
と呟いた。
それが何であれ、受け取りたくない。
そう思ったのも束の間
鞄から出てきたのはキムソクジンが吸っている銘柄と同じ煙草だった。
新品のそれを手渡しながらにやりと笑う。
｢もう、僕がいない時も吸いたいでしょ｣
呆然とそれを受け取ると、返事も聞かずいつものまたね という言葉と一緒にドアを閉めて行ってしまった。
きっと彼は何も考えてなんかいない。
そう、落胆を滲ませながら手の平に置かれた煙草を少し動かすと、タバコの箱の下に別の物が置かれている事に気がついた。
｢あ、｣
それは鈍色をしたジッポライターだった。
微かにキムソクジンの匂いを纏ったそれは、彼が謝って私に渡したものなのか それともこれもまた贈り物なのか分からなかった。
私はそれをぎゅっと握りしめ、新品の煙草の箱と共にドレッサーの引き出しの奥にしまった。
いつかしまいこんだ眼鏡がこちらをちらりと見た気がした。
キムソクジンと同じ銘柄の煙草を買うようになったのはこの頃からだ。
彼から貰った箱には手をつけず、自身で買ったものを消費していった。
灰皿を買う気はなく、変わらずあの入れ物を使い続けた。元は白かったその入れ物は煤でじんわり灰色になっていた。
鈍色のジッポライターも、どうしても使えなかった。
たまに引き出しを開け、それの存在を確認して 私とキムソクジンの微かな糸が切れていない事に安堵した。
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K(プロフ) - sunnyさん» コメントありがとうございます！ジンくん目線！凄くいいですね。整理が着いたら書いてみたいと思います！本当に嬉しいお言葉ありがとうございます。 (2021年10月15日 20時) (
レス) id: 2712528a63 (このIDを非表示/違反報告)
sunny(プロフ) - すごいどストライクの作品で大好きです💜！この作品のジンくん目線？の内容もすごい気になります！これからも大変かと思いますがお話頑張ってください！！ (2021年10月15日 18時) (レス) @page37 id: 5ee4f4580f (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - びぃんさん» コメントありがとうございます！嬉しいお言葉を本当にありがとうございます。こんな最低の男にしてしまって申し訳ないですが気に入っていただけて良かったです！ (2021年10月11日 18時) (レス) id: d7c2a5623f (このIDを非表示/違反報告)
びぃん(プロフ) - いやめちゃくちゃ好きです何だこれは……すっごい昂りましたありがとうございます神様仏様K様…… (2021年10月11日 18時) (レス) @page37 id: 57661bab90 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ほまさん» コメントありがとうございます！激アツ、凄く嬉しいです！風景を思い描いていただけて良かったです。これからも少しずつですが書き進めていこうと思いますのでまたご覧頂ければ幸いです。 (2021年10月11日 0時) (レス) id: d7c2a5623f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2021年10月2日 19時
