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店の暖簾を片手で上げながら、長身の男が入ってくるのが見えた時
私は気付かないふりをした。
あくまでも、同期と二人きりで飲んでいた所を邪魔されたという態度を取りたかった。
｢遅くなってすみません｣
代わりにこっちこっちと手招きする同期を見つけ、のらりくらりとこちらに向かってくるキムソクジンは
最後に見た時と全く変わっていなかった。
それもそうか、数ヶ月しか経っていないのだ。
｢お久しぶりです｣
同期に笑顔を見せるキムソクジンの横顔をちらりと見やる。こちらを向くことも無くスーツのジャケットを椅子に掛けながら当たり前のように同期の隣に腰かける仕草も、腹立たしいはずなのに懐かしさで気にもならなかった。
｢Aさんもお久しぶりです｣
他人行儀な敬語で漸く私の方を見る。
｢ん、元気だった？｣
と片手を上げてみせると、
｢ええ、まぁ。｣
お決まりの文句で会話を終わらせ、直ぐに同期に目を向ける。
迷惑なんだよね、と眉をひそめていた同期はもう居ない。
塗り直したてのリップが、赤すぎるのではないかと思うくらいてらてらと光った。
｢ハイボールを｣
と、キムソクジンは店員に声をかけ
当たり障りのない会話を始める。
新しい職場はどうだ、とか 給料が前より良くなった、とかそういうくだらない話を
大きく頷きながら聞く同期が女であることを再認識しながら 進む焼酎に目が霞んできたのでカバンから眼鏡を取りだした。
｢あ｣
キムソクジンはにやりと笑いながら
｢なんかAさんの眼鏡姿見るのも久しぶりだな｣
と言う。
｢そうだろうね｣
目線を外しながら眼鏡を掛けると、覗き込むように首を傾け
｢やっぱり似合わないですね｣
と放つ。
同期が そんな事言うもんじゃないよ とか言いながらキムソクジンの肩を叩くと 冗談ですよ とまた直ぐに同期との会話に花を咲かせる。
やはり、この男は良くない。
そう思いながらも、首筋が泡立つような妙な感覚を一人静かに味わった。
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K(プロフ) - sunnyさん» コメントありがとうございます！ジンくん目線！凄くいいですね。整理が着いたら書いてみたいと思います！本当に嬉しいお言葉ありがとうございます。 (2021年10月15日 20時) (
レス) id: 2712528a63 (このIDを非表示/違反報告)
sunny(プロフ) - すごいどストライクの作品で大好きです💜！この作品のジンくん目線？の内容もすごい気になります！これからも大変かと思いますがお話頑張ってください！！ (2021年10月15日 18時) (レス) @page37 id: 5ee4f4580f (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - びぃんさん» コメントありがとうございます！嬉しいお言葉を本当にありがとうございます。こんな最低の男にしてしまって申し訳ないですが気に入っていただけて良かったです！ (2021年10月11日 18時) (レス) id: d7c2a5623f (このIDを非表示/違反報告)
びぃん(プロフ) - いやめちゃくちゃ好きです何だこれは……すっごい昂りましたありがとうございます神様仏様K様…… (2021年10月11日 18時) (レス) @page37 id: 57661bab90 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ほまさん» コメントありがとうございます！激アツ、凄く嬉しいです！風景を思い描いていただけて良かったです。これからも少しずつですが書き進めていこうと思いますのでまたご覧頂ければ幸いです。 (2021年10月11日 0時) (レス) id: d7c2a5623f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2021年10月2日 19時
