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文房具の卸売業者。
そこの営業マンをしている私は、 何もかも中の中。
学生時代からそうだった。学業の成績も部活の成績も見た目も中身も、付き合った男のレベルも
何もかもが中の中。
だからこそ身の丈にあったものを選んできたし、多くを求めることはしなかった。
手に余るものはいつか自分を食い殺す それを知っている気でいた。
｢Aさん、これ｣
冷たい缶コーヒーを差し出しながらキムソクジンは汗を拭っている。
｢暑すぎますね、異常だ｣
一瞬で露を纏う缶を受け取りながら
｢ありがとう
そうだね‥‥｣
と、ビルの窓から容赦なく反射する光を見上げた。
年上の後輩は、やはり私より人生経験があるのだろう。顧客に気に入られるスピードが尋常ではなかった。
いや。やはりこの顔のおかげもあるだろう。
ニコリと笑えばそれだけで商談が終わることだってしばしばだった。
更にこの男は輪をかけて口も達者だった。
老若男女問わず、自分のテリトリーに引きずり込んでいくようなそんな引力すら感じる。
今もまた、先刻終わった商談が 予定時間の半分もかからなかったため のんべんだらりと缶コーヒーなんかを煽っているのだ。
｢Aさんのおかげで早く終わりましたね｣
｢よく言う‥‥｣
｢え？何でですか？｣
悪びれなく笑い、ハンカチを私の目の前に突き出す。
｢手、濡れてますよ｣
断りを入れて自分のハンカチを出すより早く、空いた方の手にハンカチを押し付ける。
｢どうも｣
私なんかが警戒するなんて彼に失礼かもしれない。
でも、何とか火傷を負いたくない私はなるべくキムソクジンと物理的な距離を取ろうとしているのだが
彼は元々、パーソナルスペースの狭い人間なのだろうか 肩と肩が触れるほどの距離で会話を繰り広げる。
｢もう少しサボっていきましょうよ｣
ここは暑いし。と喫茶店を顎で指しながら要求したと思えば、ハンカチごと私の手を引っ張り上げ歩き出す。
制止しようと声を出そうとしたが、
商談が直ぐに終わったのは僕のおかげでしょ、と
先程とは真逆の言葉を発しながらキムソクジンは歩みを進めた。
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K(プロフ) - sunnyさん» コメントありがとうございます！ジンくん目線！凄くいいですね。整理が着いたら書いてみたいと思います！本当に嬉しいお言葉ありがとうございます。 (2021年10月15日 20時) (
レス) id: 2712528a63 (このIDを非表示/違反報告)
sunny(プロフ) - すごいどストライクの作品で大好きです💜！この作品のジンくん目線？の内容もすごい気になります！これからも大変かと思いますがお話頑張ってください！！ (2021年10月15日 18時) (レス) @page37 id: 5ee4f4580f (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - びぃんさん» コメントありがとうございます！嬉しいお言葉を本当にありがとうございます。こんな最低の男にしてしまって申し訳ないですが気に入っていただけて良かったです！ (2021年10月11日 18時) (レス) id: d7c2a5623f (このIDを非表示/違反報告)
びぃん(プロフ) - いやめちゃくちゃ好きです何だこれは……すっごい昂りましたありがとうございます神様仏様K様…… (2021年10月11日 18時) (レス) @page37 id: 57661bab90 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ほまさん» コメントありがとうございます！激アツ、凄く嬉しいです！風景を思い描いていただけて良かったです。これからも少しずつですが書き進めていこうと思いますのでまたご覧頂ければ幸いです。 (2021年10月11日 0時) (レス) id: d7c2a5623f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2021年10月2日 19時
