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苦手だと自覚した時、急に羽葉がねぇねぇと声をかけてきた。
「最後くらいさ、私の恋バナに付き合ってよ」
そんなことを言い始めた羽葉。
今度はなにを考えているんだと思ったが、最後くらいという言葉が引っ掛かった。
もう死ぬことを覚悟しているみたいな言い方だったから。
『……最後くらいな』
俺がそう言えば、嬉しそうに笑った羽葉。
話始めようとしていた羽葉の表情は、どこにでもいる普通の女子高校生で、どこにでもいる恋をしている女の子だった。
「……私ね……真冬くんが好きだったの。結構、本気で好きだった。真冬くんは私のことは嫌いみたいだったけど。仕方ないよ。頼まれたからって言っても、妹のことをいじめろって命令したのは他でもない私だから」
悲しそうに眉を下げて微笑む羽葉に、本当に好きだったんだと思った。
顔とか容姿とかで告白するやつらじゃなくて、中身まで見て好きになったやつの表情だったから。
『……好きになった理由は？』
「理由は単純。真冬くんが妹に向ける笑顔が誰に見せる笑顔よりも綺麗だったから。あの笑顔を私に向けてくれたら。私のことを、あの妹みたいに愛してくれたらって思ったの。結局こっぴどくフラれちゃうんだけどさ」
笑ってはいるが、今にも泣きそうな表情と、震えた声は誤魔化せていなかった。
あの妹みたいに……
【愛されるのは、私だけでいいのよ！！】
そう痛々しいくらいに悲しそうに、でも俺達に対しての憎しみを言い放ったあの人が浮かぶ。
あの人の中での俺達は邪魔でしかなくて、等しく愛されるなんてことは微塵も考えてなくて……
いや、等しい愛なんてものは、ない。
『……等しい幸せは……一番曖昧だ。例えばさ、ケーキを３等分に切ったとするだろ？でもそれは本当に同じ大きさなのか、同じ体積なのかっていったら、厳密には違う。それと一緒。同じように愛されるっていうのは、無理だ』
「……そんなの、私が一番分かってるよ。でも、それでも好きだったの」
そう言って笑う羽葉は、ただ純粋に真冬に恋をした女の子だった。
……等しい幸せなんて、切り取ったケーキよりも、もっと曖昧なものだ。
そんな曖昧なものだからこそ、なによりもほしいって思ってしまう。
それが、幸せ。
……それが、愛。
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あづの ひみ(元朝日菜薔薇)(プロフ) - 清羅さん» ありがとうございます。そこまでこの作品に対して言っていただけて嬉しいです。更新頑張らさせていただきます。 (2020年8月5日 19時) (
レス) id: 519239ae11 (このIDを非表示/違反報告)
清羅(プロフ) - コメント失礼します。この話を読んでからブラッククリスマスを改めて聞くと今まで気づかなかったようなことに出会えたように思います。今まで読んだ作品の中で一番心を打たれた作品です。お忙しいとは思いますが更新、楽しみにしてます。 (2020年8月5日 19時) (レス) id: 5ca9b876de (このIDを非表示/違反報告)
あづの ひみ(元朝日菜薔薇)(プロフ) - 千々さん» ありがとうございます。そんなことを思いながら読んでもらえて嬉しいです。続き、しっかりと最後まで書かせていただきます。 (2020年5月23日 16時) (レス) id: 519239ae11 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - ブラッククリスマスを聴きながら、一つ目から読んでいたら本当に心がいたくなりました。大切に思っていたからこその行動に泣きたくなりました。続きを楽しみにしています。 (2020年5月23日 15時) (レス) id: a6aff5c4e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あづの ひみ(元朝日菜薔薇) | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/AdAsnhmp/
作成日時：2020年5月23日 10時
