【utit】黒く染まったクリスマス【A f t e r t h e R a i n】

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彼方がリビングに戻ってきて、情報共有が始まった。

『……は？いじめ？』

「そう。リーダーは羽葉李紗の妹、羽葉柚季」

『羽葉？あ、あの香水の匂いがキツい人？』

「そういう覚え方してるんだな……真冬……」

苦笑する彼方から目をそらし、カーテンの隙間から見える外を眺めた。
そういえば、最近なぜか怪我をすることが多くなっていた気がする。
ドジしちゃったって本人は言ってたけど、やっぱり嘘だったんだ。
気付けなかったことに対しての自分への怒りが込み上げてくる。

『っ……はぁ……』

というか、なんで僕じゃなくて彼方に相談したんだろ？
僕ってそんなに頼りない？
僕だって、Aのためなら何でもやるのに……
こんなときに嫉妬と独占欲にまみれてしまう。
だから堕天使って言われるのかもしれない。

『僕ってダメだなぁ……』

「どうした？急に」

『いや……』

「あ、そういえばAに真冬には言うなって言われてたから俺から聞いたって言うなよ？」

『へ？』

「なに？」

僕には言うなって……

『そんなに、頼れないのかな……僕……』

涙で視界が霞む。
本当、兄失格……

「……そういう意味じゃ……ない」

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