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帰ってくると、ほとんどの部屋が暗かったけど、リビングだけは明かりがついていた。
リビングに行くと、彼方がソファに座っていた。
僕は下に普通の服を着ていたこともあり、暑かったためサンタ衣装を脱いだあと、彼方の近くに寄って、少し小声でわぁ!と言った。
彼方はゆっくりと後ろを振り向くと、少し怒った様子で僕のことを見つめた。
「おい、遅い」
『……はい。ごめんなさい』
「……別にいいけど……終わったなら連絡寄越せよアホ。心配で寝れなかったんだぞこっちは」
そう言っているときの表情はいつもの気だるげポーカーフェイスだったが、彼方の藍色の瞳が怒りと心配という感情を帯びているのが分かった。
『……ごめん。でも、ありがと彼方。僕のこと心配してくれて』
「……弟なんだから、当たり前でしょ」
その言葉に、僕は微笑んだ。
すると後ろからガタッという音が聞こえて、振り向いた。
そこには眠そうに目を擦りながら僕たちのいる方に歩いてくるAだった。
『A、起きちゃったの?ごめんね?』
僕は急いでAに近付くと、Aは僕のことをじっと見つめて、ふにゃっと笑顔を見せた。
「まふゆおにいちゃん……おかえりなさい」
その言葉に目を見開いた。
どこかにいっていたの知ってたんだ、なんて思ったあと、さっきまでのことが鮮明に頭の中で再生されて、罪悪感で押し潰されそうになった。
手を汚しちゃった僕が、Aの隣にいていいのかな、ということを考えたから。
そんな気持ちを知っているのか知らないのか、Aは僕の頬にゆっくりと手を伸ばして、優しく触れると、いつものように微笑んだ。
僕はAのことを抱きしめた。
『っ……ごめんね……でも……』
Aのこと、大好きだから、隣にいさせて?
まだ、もうちょっと、お兄ちゃんでいさせて?
彼方、A……
こんな我が儘な僕を許して……
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朝日菜薔薇 - JOKER2さん» ありがとうございます!気長に待ってくれると嬉しいです! (2020年3月25日 11時) (レス) id: 602e3f55c9 (このIDを非表示/違反報告)
JOKER2 - 更新頑張って下さい。応援していますよー!続きがすごい気になるなぁ…。 (2020年3月16日 10時) (レス) id: 226d68d24b (このIDを非表示/違反報告)
朝日菜薔薇 - ゆなさん» 更新が遅れてしまいごめんなさい。少しずつ進めていきますので、気長に待っていてください! (2020年3月9日 22時) (レス) id: 602e3f55c9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - 更新止まってますよ〜 (2020年1月1日 8時) (レス) id: c843a619c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あづの ひみ(元朝日菜薔薇) x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/AdAsnhmp/
作成日時:2019年8月15日 23時